2008年6月7日
またサッカーの国際選手権の時期となった。今日始まる欧州選手権(ユーロ2008)はスイス・オーストリアの共同開催で、好試合が多くあることを期待している。連合王国の4国(イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)全て予選落ちしてしまったので、英国ではいつもの狂躁ぶりではないが、サッカーが大好きな人々だから、パブの大型スクリーンで観戦していることだろう。英国人はまた賭け事が好きだからどの国が優勝するか莫大な金額が賭博屋に流れていると思う。大手賭博屋によるとドイツ優勝となっているが、どうだろうか。英国とベルギーを行き来しているので、ベルギーにいる間は一方のチームが独蘭仏の場合その国でテレビ局で観戦しようと思う。まあ仏蘭語はあまりわからないが、画面を観ていれば何が起きているかわかるので、困る事もなかろう。このページは EURO2008 期間中、こちらのブログとともに比較的頻繁に更新するつもりだ。選手権が終わったあともリンクなどを加えていこうと思う。そうとはいっても三日坊主だから、どうなることやら。
2008年6月7日
共同開催国で手堅い守備とチームワークのスイス、 Jan Koller を中心に攻めるチェコ、世代交代が続くが選手層の厚いポルトガルと侮れないトルコの4国からなるこのグループはポルトガルが優位だろうか。
スイス・チェコ共和国(0:1)
共同開催国の一国のスイスとチェコの対戦となった開幕試合は、チェコが1-0で勝ち、スイスとしては主審がペナルティーとなるべきハンドボールを見逃してしまうなど不服のある結果だろう。またキャプテン Alexander Frei が怪我をするなど、今後2試合が厳しくなるかもしれない。2004年欧州選手権、ネーデルラントとドイツと同組となりながらも1位で予選通過し、準決勝で優勝国ギリシアに敗退したチェコは、どちらかというと好きな国の一つだ。しかしあの観ていてわくわくする Pavel Nedvěd, Karel Poborský, Vladimír Šmicer, Tomáš Rosický, Milan Baroš, Jan Koller といった選手が活躍したチームと比べるとなんとなく速さと強さに劣るような気がしてならない。
ポルトガル・トルコ(2:0)
やはりポルトガルは強いと改めて思った。結果は2-0だったが、あと2点3点入ってもおかしくない展開だった。トルコは決して弱いチームでもないし、悪い試合運びでもなかった。ポルトガルのパスの正確さとチームワークはすごい。選手層も厚い。これまでポルトガルの代表的存在だった Luis Figo, Rui Costa が抜けたあとだが、全く弱さを見せない。ベテラン Nuno Gomes もいるが、 Simão Sabrosa, João Moutinho, Cristiano Ronaldo, José Bosingwa, Pepe の5選手の動きは観ていて面白かった。他の守備陣もきっちり仕事をこなしていた。前回2004年欧州選手権では開催国で惜しくも準優勝となったポルトガルだが、今回はどうだろうか。
2008年6月8日
もう一国の共同開催国でサッカー強国とは言えないオーストリア、欧州選手権やW杯常連のクロアチア、組織力と安定感があり優勝候補筆頭のドイツ、2012共同開催国ポーランドの4国のB組だ。順当にいけばドイツとクロアチアかポーランドが準々決勝に進むだろう。
オーストリア・クロアチア(0:1)
共同開催国のオーストリアのサッカーの強さの評判は今選手権国中「最弱」だ。やはりクロアチアが一枚上手だったが、後半のオーストリアは地元の大声援にも押され、善戦した。球を取るも攻撃に速さを欠いてしまい、また最後のパスが繋がらず、ロングシュートを放つもゴールには至らなかった。クロアチアは最初の20分程は力強い攻撃を見せたものの、後半は防戦一方だった。オーストリアのラフプレーが目立った。ドイツがおそらく1位通過で、2位がクロアチアかポーランドのどちらか、というのが有力視される。
ドイツ・ポーランド(2:0)
試合の流れが速く、見応えのある試合だった。優勝候補の一角であるドイツは制球に安定感があり、崩し難いチームだ。ポーランドも互角の戦いを見せ、無得点に終わったものの、今後オーストリアとクロアチアには充分勝てる素質をみせた。2ゴールでポーランド生まれの Lukas Podolski はドイツ攻撃の要として今後とも注目すべき選手だ。ポーランド人に言わせれば、ドイツはポーランドのFW( Łukasz Podolski, Mirosław Marian Kloze )がいなければ得点できないような国だ。
2008年6月9日
死のC組は2006年W杯優勝国イタリア、準優勝国フランス、強豪ネーデルラントと今大会の穴馬的存在ルーマニア。グループ最初の2試合はフランス・ルーマニアとイタリア・オランダの好カードだ。それにしてもフランスとイタリアは仲がいい。欧州選手権の予選でも同組となり、本戦も同組だ。
ルーマニア・フランス(0:0)
これまでの試合である意味一番面白くなかった。両チームとも積極的に点を取ろうという気配がなく、機会を作ることもあまりなかった。死の組だけあって勝ち点を落とすことだけは避けたかったのだろう。フランスは Franck Ribéry, Florent Malouda, Claude Makélélé の3人がまあまあよく動いたが、 Nicolas Anelka の影は薄かった。
テレビ宣伝:なかなかユニークな応援グッズを作る Heineken
【ドイツ語】
A:欧州選手権に合わせてスーパーでのプロモーション商品
が必要だな。会場やファンのためのやつだ。
B:キーホルダーは?
A:何かオーストリアらしいものはないか?
B:じゃあ、レーダーホーゼンは?
A:・・・
B:スキーが背中にプリントされたTシャツはどうだ?
A:秘密兵器がいるんだ。2年前のオランダの一見普通の帽
子だがメガフォンにもなるとんがり帽子のようなの。あれは
本当に凄かったな。
B:ドラム帽子はどうだ。2本のスティックが隠されていて
一番上をドラムのように叩けるというのは?
A:あほらしい。
B:・・・そうだな。
オランダ・イタリア(3:0)
今選手権中一番の試合だった。このような試合が欧州選手権観戦の醍醐味だ。実力のある2チームが攻撃的なサッカーを披露した。結果は Oranje と呼ばれるオランダが3−0で勝ったものの、もっとゴールがあってもおかしくない展開だった。イタリアはやはり守備面での中心的存在 Fabio Cannavaro を怪我で失ったのが痛手だったようだ。 Gianluca Zambrotta, Christian Panucci はまだしも、 Andrea Barzagli, Marco Materazzi はあまり試合に関らなかった。特に Andrea Pirlo の活躍は賞賛に値するし、 Antonio di Natale, Mauro Camoranesi, Luca Toni, Gennaro Gattuso, Alessandro del Piero も決して悪いわけではなかった。でもオランダは強かった。まず Wesley Sneijder, Giovanni van Bronckhorst の2選手の動きが非常によかった。ゴールキーパーの Edwin van der Sar も好セーブの連続だったし、1トップの Ruud van Nistelrooy も常にゴールを狙っていた。
前半26分の van Nistelrooy はオフサイドではなかったかと指摘されたが、ピッチ外で倒れたいた Panucci がプレーしているかどうかで決まり、プレーしていると判断されたため、 van Nistelrooy はオンサイドだった。前半31分と後半34分、カウンターからの素早い攻撃で Sneijder, van Bronckhorst, Kuyt の連繋は痺れるくらい芸術的だった。
このままの調子が続けばオランダに優勝してほしいと思う程だ。これもイタリアという強い相手だったからこそ楽しめたのであり、今後とも高レベルの試合に期待したい。
2008年6月10日
常に優勝候補と言われるがなぜか本番に弱いスペイン、知将 Guus Hiddink 監督率いるロシア、前大会優勝で守備が固いギリシア、なかなかしぶといスウェーデンというD組。スペインが1位通過でそのあとをどの国が続くかが鍵となりそうなグループだ。
スペイン・ロシア(4:1)
スペインは強かった。全体的にスピード感溢れ、長中短のパスが見事に繋がる試合運びでロシアを圧倒した。ボールを奪った後のスペインの攻撃は圧巻だった。FWの David Villa, Fernando Torres の動きの良さとDFとMFからのパスの正確さが一体となり、流れと好機を作りだした。もちろんハットトリックを決めた Villa も讃えるべきだが、それ以上に Torres が良かったと思うのは私だけだろうか。ロシアは Роман Анатольевич Павлюченко が良かったもの少々詰めが甘い感があり残念だ。前半いい動きが何回もあったが、決め手に欠け、ゴール前でパスが一つ余計だったり、と力を出し切れなかったようだ。
スウェーデン・ギリシア(2:0)
前日のフランス・ルーマニア戦は期待したため落胆したが、スウェーデン・ギリシア戦はオランダ・イタリアそしてスペイン・ロシアの試合後だから、高望みはできないと思っていた。ギリシアは前回同様、1点を(試合終了間際)セットプレーから得て鉄壁の守備で死守するつもりなんだろうなあ、と推測していた。前半を観ただけならば「案の定」で、後半も半ば興味を失いつつテレビの前にいたら Zlatan Ibrahimović の物凄いシュートがネットを揺らしていた。スローモーションで観たら鳥肌が立つくらい力強いゴールだった。スウェーデンの2点目は悲喜劇という感のゴールだった。
2008年6月11日
チェコ・ポルトガル(1:3)
ポルトガルはかなり強い。前半はどちらかというとおとなしかった Cristiano Ronaldo そして Simão だったが後半は本領を発揮して、比較的固いチェコ守備陣を崩していった。試合を通じて Deco の動きが良かったと思う。チェコも1−3で負けたものの、 Libor Sionko, Milan Baroš の2選手がまあまあの動きを見せたのが好材料と言えるだろうか。
スイス・トルコ(1:2)
開催国のスイスが敗退した。スイスは決定的機会が2回あったもののそれを活かせず、終了間際にトルコに点を取られてしまった。前半は大雨でピッチが水浸しとなり、ボールが非常に重くなった。クロスされたボールがゴール前の水たまりでほぼ停まったのを押し込んだスイスのゴールは少々滑稽なところがあった。
2008年6月12日
ドイツ・クロアチア(1:2)
クロアチアが非常にいい試合を見せて、優勝候補とも言われるドイツに対し貫禄のある勝ち方をした。特に Luka Modrić が試合の流れをよく調節していて、クロアチアにいいプレーにはほぼ必ず関係していた。Modrić やDarijo Srna, Ivica Olić, Niko Kranjčar との間の連繋が上手くいった。ドイツとしては、積極性に欠け、特に前半はMFが球を失ったり、あるいはパスミスが多くなったり、FW Miroslav Klose と Mario Gómez の間の連繋や Gómez がオフサイドの位置にいることが数回など課題があるし、左の守備の脆弱性はなんとかしなければいけない。特にグループ2位突破となれば、準々決勝で相見えるのはあのポルトガルだ。
オーストリア・ポーランド(1:1)
スイス・トルコ戦が雨のせいで、滑稽の面があったとしたら、このオーストリア・ポーランド戦はまさに悲喜劇だった。出場は国の恥曝しになるから、辞退せよとも言われたオーストリアだが、前の試合でも後半は善戦したし、この試合でも良いプレーを見せた。。オーストリアは立て続けに3回決定的機会があったものの、ポーランドGK Artur Boruc に阻まれて、先制したのはポーランドだった。しかし終了間際に得たPKを国民的英雄と呼んでもいい Ivica Vastić を決めるという劇的な試合だった。
2008年6月13日
イタリア・ルーマニア(1:1)
ルーマニア非常に強い。前半、イタリアは両翼からの攻撃が奏して機会を作りだして、 Luca Toni がよく合わせてもゴールには至らなかった。45+2分、オンサイドだった Toni のヘッダーのゴールが副審の誤審でオフサイド判定となった。ルーマニアのゴールというよりはイタリアの失点と呼べばいい、ルーマニアの Adrian Mutu のゴールは Gianluca Zambrotta のミスによるものだった。イタリア失点直後の得点はCKからの連繋がうまくいって、イタリア勢いに乗りそうだったものの、決定力がなかった。81分の Mutu のPKシュートを見事に手そして足でセーブした Gianluigi Buffon のおかげで、イタリアは準々決勝進出の可能性は残したものの、ルーマニアのオランダ戦の結果によるもので、完全に自力での進出の道は閉ざされた。
オランダ・フランス(4:1)
オランダの快進撃続く。オランダの最初の得点はセットプレーのCKからで、フランスの守備に問題点があった。試合を通してフランスはオランダのカウンター攻撃に対処しきれなかった感がある。この試合の模様はフランスTF1で観ていたのだが、アナウンサーや Arsène Wenger Arsenal 監督を始めとする解説者を聞いていておもしろかった:フランスの応援はもちろんだが、サッカーをある種の芸術あるいは哲学とみなし、オランダのプレーの上手さに賞賛を惜しまなかった。
2008年6月14日
スウェーデン・スペイン(1:2)
両チームにとってグループ突破を確実にするためには勝たなければいけない試合だった。15分スペイン1点先取から前半終了までの30分程を除き、全体的にスペインが攻勢でスウェーデンは守勢だった。後半、堅守のスウェーデンが引き分けで勝ち点1を確保するような展開だったが、終了間際 David Villa のゴールでスペインの勝利となった。スペインとしては絶好調のオランダとの準々決勝での対決は避けたかっただろうから、いい結果だ。
ギリシア・ロシア(0:1)
ロシアが優勢だった。ロシアのゴールはギリシアGKのゴール右に逸れつつあったボールを追うという悪い判断と、ギリシアDF5がボックス内にいたロシアの選手をフリーにするという守備の悪さが重なった、幸運な得点だった。ギリシアも反攻したが、及ばず、逆にカウンターからロシアに隙を与えたが、ロシアも決定力不足に悩まされた。グループ最終戦、あのスペインでさえ苦労したスウェーデンの守備を崩せるか、または与えられたないし作り出した機会を確実に得点にできるようなプレーでなければ、ロシアも大変だろう。
2008年6月15日
スイス・ポルトガル(2:0)
主力選手は休ませたもののかなり強いポルトガルの陣容にスイスが挑み、 Hakan Yakin の2ゴール(内1ゴールはPK)で共同開催国が勝った。スイスとは2連敗で準々決勝進出が叶わなかったのは残念だろう。
チェコ・トルコ(2:3)
笛が試合終了を告げるまで何が起こるか分からないというのがサッカーだ。結果としては引退を表明した Karel Brückner チェコ代表監督の指揮する最後の試合となってしまった。個人的に2004年来チェコ贔屓なので残念だ。
2008年6月16日
オーストリア・ドイツ(0:1)
ドイツ、覇気の感じられない試合だった。ただ Michael Ballack が本調子に戻ってきたのが好材料だろう。オーストリアは積極的に攻撃したが、ドイツの守備を崩すことができなかった。しかしポルトガル相手に守備に徹することは無理だろう。
ポーランド・クロアチア(0:1)
クロアチア、準々決勝進出が決まっていてが、それでも1−0での勝利はチームワークの良さを語っている。スーパースターはいないかもしれないが、一体感と団結力、攻撃と守備がよく噛合うクロアチアに勝つのは難事だろう。
2008年6月17日
フランス・イタリア(0:2)
オランダに助けられたイタリア準々決勝進出。終始イタリアのペースだった。勝利が至上命題だったフランスだが、10分に怪我を負った攻撃の要とも言える Franck Ribéry を交代せざるを得ず、24分に最後のDF選手だった Éric Abidal が Luca Toni にファウルでイタリアにPKを与えて退場処分となり、非常に辛い試合となった。ただフランスの陣容は Zinedine Zidane なしだと真ん中に穴が開いたようだ。確かに Ribéry は優秀な選手で攻撃には欠かせない存在だが、時間と空間を完全に制御し中央で試合を仕切るような Zidane とは違うタイプの選手のように思えた。もう一人『次の Zidane』と呼ばれる Samir Nasri を充分観ることができなかったのは残念だ。フランスはもう栄光の1998年・2000年世代から決別して、世代交代を図らなければならないだろう。一方のイタリアも中心選手の多くが30歳を超えている。しかし Giorgio Chiellini, Daniele de Rossi, Antonio Cassano という20代の選手も場を与えられている。この試合に勝ったイタリアだが Pirlo が次のスペイン戦は出場停止になるなど余裕はあまりない。
オランダ・ルーマニア(2:0)
オランダ、一部主力選手を休ませたが、それでも闘気あるルーマニアに対し2−0で勝つという底力を見せつけた。 Robin van Persie, Arjen Robben 級の選手が『Bチーム』と言えばオランダの強さがわかる。
2008年6月18日
ロシア・スウェーデン(2:0)
ロシアはこれまでの2試合と比べると断然とよくなってきている。Андрей Сергеевич Аршавин が戻ってきたため、攻撃にリズムがある。特に前半の速さとパスさばきは観ていて感心できるものだった。オランダも油断はできまい。ただいまだにロシアには詰めの甘さがある。決定的機会が数回あり、もっと得点できたかもしれなかったのだが、最後のシュートやヘッダーが決まらなかった。守備もGKを始め、脆さがありそうだ。ただ3試合と通して、 Guus Hiddink 監督はどのような体制がロシアにとって最善なのか見極めることができただろうから、準々決勝の采配が楽しみだ。スウェーデンはパスが繋がらず、すべてにおいてちぐはぐしていた。もう国際舞台から引退となるだろう Henrik Larsson が一番頭脳的なプレーだった。もう観ることができないとなると寂しい気もする。
スペイン・ギリシア(2:1)
2008年6月19日
ポルトガル・ドイツ(2:3)
これまで苦戦していたドイツ、重たい空気を一気に吹き飛ばす試合だった。選手間の意思疎通が良くなり、チームとしての一体感がようやく見えてきた。ドイツには Cristiano Ronaldo 級の選手はいないかもしれないし、個々としてはポルトガルの方が強く見えたが、チーム全体としてはドイツの方が一枚上だった。ポルトガルにMFで空間を与えなかった。Deco が頑張ったものの、MFから短いパスを早々そして次々に繋ぎ漸進して好機を作りだすことができなかった。ドイツも守備に徹することなく、常に果敢に次のゴールを狙っていた。Michael Ballack が主将らしく役割をきっちり果たした。速い攻撃のできる Lukas Podolski, Bastian Schweinsteiger の2選手が試合開始時からいたため、球を奪えばすぐに攻撃できる態勢だった。この2選手が前に出たことで、Ballack は無理して定位置から外れてのプレーをしなくても済んだように思えた。今大会守備選手中一番の働きをしているような Philipp Lahm が前に出る Podolski, Hitzlsperger をよく援護していた。
2008年6月20日
クロアチア・トルコ(1:1;PK1:3)
チェコ戦で2試合の出場停止処分になってしまった Volkan Demirel や負傷者を抱え、監督に選択の余地はあまりなかった満身創痍のトルコのまたしても劇的な勝利だ。トルコのFWもよかったが Hamit Altıntop が常に前に出て攻撃の糸口を作っていたのが印象的だった。トルコの精神面での強靭さは凄い。でも次の試合は Tuncay Şanlı, Emre Aşık, Arda Turan の3選手が出場停止となりもうほとんど余力のない状態だ。クロアチアの方がいい動きを見せていて Luka Modrić がまたしても中心的な役割を果たしていた。
2008年6月21日
オランダ・ロシア(1:3延長後)
死のC組で仏伊を撃破したオランダだが Guus Hiddink 監督率いるロシアに敗退した。オランダには流れがなかったし、 Dirk Kuyt, Rafael van der Vaart, Wesley Sneijder の3選手が真ん中に団子状態になっていたが、対するロシアはゴール前のFWから守備左まで斜めに Роман Анатольевич Павлюченко, Андрей Сергеевич Аршавин, Константин Георгиевич Зырянов, Юрий Валентинович Жирков の4選手がきれいな一線を描いていた。一旦攻撃となるとかなりの破壊力があり、オランダは Dirk Kuyt, Nigel de Jong が中央寄りになってしまい、1人右の守備を任されるようになった Khalid Boulahrouz に負担がかかりすぎた。 John Heitinga, Robin van Persie の投入で少しはよくなったものの対応しきれなかった印象が強かった。
上記の図はスペインの前半の実際のフォーメーションだ。
2008年6月22日
スペイン・イタリア(0:0;PK4:2)
スペイン、ようやくイタリアに勝利だ。この前の勝利が1920年というからスペインの歓喜もわかる。PK戦の末での勝利というのは精神面の強さと運の問題であるが、よりよいチームが勝ったことにはかわりない。スペインは積極的な攻撃ではあったものの中央に選手が集まりすぎた感がある。これは殊に前半顕著だった。イタリアの守備はやはり強固で中央突破で打ち砕くのは容易くなかった。この点、もちろん最初からPK戦に持ち込むつもりではなかっただろうが、イタリアの守備重視の作戦は充分に機能した。イタリアは Andrea Pirlo が出場停止だったため、中央の要がなく、ボールの支配と攻撃が容易ではなかったように思えた。また Gennaro Gattuso も出場停止でイタリアの中央が薄く感じられた。いくら Daniele de Rossi が奮闘しようともスペインに球を奪われ、MFはほぼスペインが独占したようなものだった。またゴールを決められない Luca Toni に頼りすぎた面もあった。
2008年6月24日:準々決勝が終わった現在の雑感
予想外の展開となった。4強はポルトガル、クロアチア、オランダとスペインになるのではないかと8強が出揃ったとき思っていた。それも、ポルトガル・ドイツとスペイン・イタリアは延長戦になるが、他の試合は90分で決着がつくと予想していた。大金を賭けていたら大変なことになっていた。蓋を開けてみるとドイツとロシアの強さが目立った。順当にいけば決勝はドイツ対スペインと思うだろうが、何が起こるかがわからないのがスポーツの世界だから果たしてどうなるだろうか。ドイツは対ポルトガル戦で見せたような試合運びであれば勝てるはずだ。怪我の Torsten Frings を除いてドイツは全力だ。トルコはGK Volkan Demirel が未だ出場停止処分になっており、攻撃の中心だった Nihat Kahveci が太腿を傷め、また Tuncay Şanlı, Emre Aşık, Arda Turan の3人が警告累積で準決勝は出場停止となっている。しかしまだ Semih Şentürk, Mehmet Aurélio のいるトルコのことだから何があるか分からない。ロシアは Андрей Сергеевич Аршавин が戦列に戻ってきて以来速い動きで Роман Анатольевич Павлюченко と共に相手を揺さぶることができるので、スペインも前の試合のように容易く4−1で勝てるとは思っていないだろう。しかしロシア・スペインの準決勝にはスペインに分がある。ロシアは最初に得点できれば優位だが、そうでなければかなり厳しいと思う。まず Денис Алексеевич Колодин, Дмитрий Евгеньевич Торбинский の比較的重要な2選手が出場停止であることをあげたい。特に Колодин は守備でよく働き、また攻撃でも有能な選手だ。もう一人の Торбинский も攻撃には欠かせない選手であり、 Guus Hiddink にとっては痛手だろう。あとひとつの要因はロシアの守備の脆弱性だ。オランダ戦でもそうだったが、特にFKなどのセットプレーでの守備は万全とは言えなかった。スペインは、幅とスピードを使い勝利を求めるべきだ。
〔閑話〕これまでほとんどの試合をテレビで観戦したが、各局に違いがある。国民性だろうか。フランスのTF1だと90分ないし120分 Arsène Wenger 氏を含む解説者のコメントがずっと続く。FKとなると誰がどのように蹴るか、守備壁はよくできているか、球の角度はどうなるかなど解説者同士で議論したりする。一方ドイツのARDとZDFはコメントは少ないものの、テレビ画面上での説明が詳しい。FKとなるとゴールから何メートル地点と10cm単位で表示される。
2008年6月25日
今日の準決勝は優勝候補のドイツと土壇場の勝利でこの試合への切符を手に入れたトルコの対決となる。今日の勝者は明日のロシア・スペイン戦の勝者と欧州王者の座を賭け日曜日に対決する。予想としては4強をずばり当てた Arsène Wenger 氏と同意見で決勝はドイツ・スペインになると思う。彼によればドイツ優勝だが心情としてはスペインに勝ってほしい。さて試合前のドイツZDFを観ているがかなりのお祭り気分だ・・・
ドイツ・トルコ(3:2)
ドイツが苦戦の末に辛勝とみるべきか、それとも主力選手を欠いても終始積極的な攻めで大奮闘も運悪く敗れたトルコを讃えるべきだろうか。結局はドイツの勝利となったが、展開からすればトルコの方がいいサッカーをしていたと思う。右での Hamit Altıntop, Sabri Sarıoğlu, Kazım Kazım の連繋は良かったし、左も Uğur Boral がよく働き、中央でも Semih Şentürk が常に好機を探っていた。ドイツも点の取り方は良かったが失点の方が課題だ。
2008年6月26日
かなり身勝手な理由となるが、わけあって今週末はマドリードにいるので、是非スペインに決勝進出そして優勝を果たしてほしいと思っている。
ロシア:スペイン(0:3)
スペイン非常に強かった。ロシアは後半ほとんどボールを得ることがなかった。スペインの守備とMFが強く、ロシアは球を支配しても前に進むことができなかった。空間があれば非常な速さで相手を揺さぶることのできるロシアだったが、全くといっていいほど機会がなかった。
2008年6月29日
ドイツ・スペイン(0:1)
スペイン、44年ぶりに優勝! 誰も文句はないと思う。この試合は大画面が設置されたマドリードの Plaza de Colón で大勢集まったスペイン人とともに一喜一憂しながら観戦した。33分に Fernando Torres のゴールが決まると皆跳び上がって喜んでいた。試合終了後はもうお祭りだった。陳腐な表現だがスペインのサッカーは、一人の選手がチーム全体を引っ張るようなものではなく、「全員サッカー」だった。準決勝のロシアと同様、ドイツには攻撃の契機もあまり与えず、好機を次々に作り出すという貫禄の決勝戦勝利だった。 Lukas Podolski にはほとんど出番がなく、 Bastian Schweinsteiger も右から中央にボールを送ってもスペインの守備に阻まれた。