最近一時帰国した際、飛行機に長く乗り、日欧間の距離を実感した。数時間ならまだしも、10時間以上窮屈な飛行機に乗り続けるとなると疲労困憊になる。あの現在どこそこを飛行中と地図上に表示される画面を見て、まだロシア上空か、とがっかりすること数十回だった。身長もそう高くなく、特に太っているわけではない私でさえこうなのだから、背の高く太っている人はさぞ大変だろうと変に同情する。
人によれば元来、でも自分の思う所ではこのところ偏屈になってきて、『エコノミー』クラスを『4等客室』と呼んでいる。その昔、と言っても十数年かもう少し時を遡ると飛行機に乗るというは興奮を覚えることだった。もちろん子供だったこともあるし、もっと運賃が高かったせいもあるが、飛行機の旅は、機内食が不味くとも個人モニターがなくとも少し優雅だったような気がする。優雅というより気楽といったほうがいいだろうか。例えば同じ映画を観るため、乗客間の連帯感みたいなものがあったようにも思える。今は一人一人違う映画を観て、また支払った航空運賃も差があるのだろう。こう、昔は良かった、などという歳でもないのに、心はすでに老いてきているのかもしれない。
さて、なぜ4等客室と呼ぶのか、まず説明したい。これまで飛行機のクラスは2クラス制と3クラス制が中心だったが、いまは変則3クラス制と4クラス制が増えてきている。2クラス制は例えばオランダの KLM やアメリカのコンチネンタル航空のように『ビジネス』あるいは『ファースト』クラスと『エコノミー』クラスに別れていることを指す。3クラス制は多くの飛行機会社が使う『ファースト』(1等)・『ビジネス』(2等)・『エコノミー』(3等)のことだ。この2ないし3クラス制は、『プレミアム・エコノミー』導入により変わりつつある。変則3クラス制はこれまで2クラス制だった航空会社が『ファースト/ビジネス』・『プレミアム・エコノミー』・『エコノミー』と3クラス制にしたことをさす。ヨーロッパではヴァージン・アトランティックや SAS といったところだろうか。4クラス制はこれまで3クラス制の飛行機の『ビジネス』と『エコノミー』の間に『プレミアム・エコノミー』が新しく取り入れられたことだ。
クラス別に違うサービスを提供したりすると、人件費も嵩むだろうが、やはり儲かるのだろう。4等客室の航空運賃は下落し続けているので、旅行客でいくら満席になっても、ビジネス客がいなければあまり利益が上がらないのだろう。ウェブなどで一刻一刻値段が上下するようになってきているせいで、個人旅行客もだんだん運賃に敏感に反応するようになってきているのだろう。経費をできるだけ削減したい会社も今は豪勢に正規ビジネス運賃を払う程懐は暖かくないが、長距離で4等に乗ったら仕事にもならない、ということで3等『プレミアム・エコノミー』を商用に使用するようになったのだろう。またこれまでの2等客室の『ビジネス・クラス』が大分よくなってきていることもある。つまり昔の『ファースト・クラス』以上の空間・食事・サービスが提供される。