wasawebホームページ
参議院の存在理由とは?
作成2007年7月27日:最終更新2008年3月31日
広告

在外選挙ができるようになって、本籍地の石狩市に在外選挙人証なるものを申請し発行してもらったのだが、数年前までは投票用紙を得るまで結構煩雑であったため結局投票しなかったが、ここ最近在外公館での投票が可能になり、今度の2007年参院選挙には、ちょうど友人の結婚式もあり在留届のあるイギリスにいることになるので、在ロンドン日本総領事館で投票しようと思っていたのだが、どうやら選挙人証を紛失したらしく、投票できなかった。まあ、少し考えてみると、参議院とは何のためにあるのかまだ良く理解していない。『参議院不要論』をインターネットで検索すると多く出てくるので、他にも同じことを考えている人が多いのだろう。政治学を勉強しているわけではないので、いろいろ疑問がある。

参議院の議員は『存在理由』についてどう考えているのだろうか。

参議院の存在理由、すなわち、衆議院と異なった特色、任務、役割りにつきましては、いろいろな点が指摘されておりますが、そのうちでも、参議院の存在理由の裏づけとなるべき最も重要な点は、いわゆるチェック・アンド・バランス、すなわち、衆議院の行き過ぎを阻止し、これを是正し、調整する役割りであることは世論の一致するところであります。この役割りが果たせないならば、参議院の存在理由の大半は失われてしまうと評しても言い過ぎではないと思うのであります。しかも、参議院は、このチェック・アンド・バランスにつきましても限界があるのであります。つまり、条約、予算、会期につきましては衆議院議決が優先するのでありまして、参議院はこれに従わざるを得ません。したがいまして、参議院が衆議院の行き過ぎをチェックできますのは法律案に限定されているのであります。ですから、現行のわが国の議会制度は完全な二院制度ではなく、一・五院制度にすぎないともいわれているのであります。しかし、法律案のチェックを通じて間接的に条約、予算、会期についての衆議院の行き過ぎを牽制することはできるのであります。したがいまして、法律案の行き過ぎさえもチェックし得ないとなりますならば、参議院のいわゆる〇・五院制もくずれ、参議院の存在理由はほとんど失なわれてしまうのであります。
参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第1号 (木村禧八郎)

衆議院の審議を補正し、補完する任務を参議院がみずから放棄するなら、国費を投じて参議院を維持する理由がどこにありましょうか。今日の不当かつ不正常な事態は単に議会制民主主義の危機であるにとどまらず、参議院の存在理由そのものが問われていると言わざるを得ません。
参議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会 第5号 (栗林卓司)

憲法改正の流れもあり、憲法調査委員会もいろいろと考えているようだ。2院制維持論が主流のようで、役割の明確な分担や地方分権・道州化で地方の首長会議的なものにするなどでカーボンコピーを防ぎ、衆議院・参議院での多数派が違っても、立法が滞らないようにいろいろ意見が出たようだ。

中央集権国家ではない国では、上院の存在理由ははっきりとしているだろうか。ドイツは連邦国家で州の権限が強いので、連邦レベルの政治は Bundestag が主なのに対し Bundesrat は州政府を代表する形になる。そのため、直接選挙で選ばれるわけではない。 Bundesrat は州に属する権限を連邦政府の介入から守るという側面がある。連邦だけに関する立法の場合は Bundesrat は関与することがない。でも線引きが難しく、実際には Bundesrat に回されることが多い。現在州と連邦の権限を明確に決めているところだ。連邦国家のカナダも上院は選挙で選ばれているわけではない。アメリカの上院はやはり州の権限を保つため、また下院で、数だけで人口の多い州が政策を押し付けるのを阻止する意味合いもある。連邦政府と州政府の役割を定め、連邦政府が州の権限に抵触しないことが主眼だ。

スコットランドやウェールズへの権限委譲で中央集権国家ではなくなりつつある混沌中の連合王国も2院制で、現在上院改革中だ。そもそも上院を改革、また人によっては「改悪」すべきかで揉めているのだが、上院をなんらかの形で残すとするのであれば、これからどのように上院議員を選出するのかが問題となる。さて選挙で選ばれた上院になった場合、下院との力関係が問題となってくる。皮肉なことに最近は上院が良識の府の役割を果たしており、下院でかなり強引に可決された法案をしっかり議論している。予算や下院総選挙の与党のマニフェストに載っていた法案については、上院は否決しないことになっている。前者は法律で決まっており、後者は慣習である。現在は投票率低下により上院はマニフェストに掲載されていた法案についても否決ないし法案を根本的に改正する案を提出することも視野にいれてある。しかし慣習というものに慣れている英国政治なので、摩擦はあっても、誰が何をしうるかはなんとか合意を形成している。

こうしてみると、参議院の存在理由というのは、地方分権・連邦化ないし直接選挙で選ばれない議員の任命をしないかぎり、あまりないように思える。いくら役割分担をしても、衆院優位には変わりがないだろう。参議院否決時に再び衆議院で3分の2以上の多数決で通すことができない場合に、『郵政』解散のような衆議院の解散という『非常手段』に訴えることができたのも、禁止はされていないが、参議院の形骸化を示したようなものだ。参議院選挙直後の国会で衆議院で可決された法案を参院が葬った場合にはどうすべきだろうか。またその直後、首相が解散権を行使して、勝った場合はどうなるのだろうか。

選挙で選ばれないのは何となく非民主的でもあるし道州制もまだ時間がかかるだろう。でも政党色が強すぎると、良識の府としての役割を果たせない。まあ提案はたくさんあるが、机上の空論として一つの案を提示してみたい。まず議員数を100とする。そして全国区での移譲式投票制度を用いる。一枚の電子投票用紙に選びたい順に10名の立候補者に投票する。つまり当選するためには(総有効票数/101)+1の票が必要となる。獲得票数が多いまたは少ない候補の票は当落選後、2番目・3番目に選ばれたい候補に流れ、死票が少なくなる。もちろんお笑いタレントが100人選出される可能性もあるが、選ぶのは国民だから仕方が無い。いろいろな選挙戦を展開できることになる。圧倒的な全国的知名度をいかして当選を狙うこともできるだろうし、ある地方を固めて堅実に票を集めることができるだろう。

広告
このサイトについて:個人情報・著作権・広告・リンクなど|webmaster@wasaweb.net|All rights reserved. © Masatake Wasa