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2005年英国総選挙
作成2005年5月5日:最終更新2008年8月7日
2005年5月に行われた、労働党3期目の勝利という結果の連合王国総選挙についての分析。単純小選挙区制度についても考える。
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結果はおおよそ予想どおりだった。

第一野党の保守党が過半数を占めるという意味で勝てるとは誰もが思っていなかったが、結果からすると善戦したことになる。投票二日前の世論調査では労働党三期目の圧勝になるかのように予測されていたからだ。どうであれ、労働党の勝利には変わりない。英国の気分は、景気もいいし一応成果を挙げてきている労働党政権がいいが圧倒的な議員数で法案を通すのはいやだ、とでもなるだろうか。しかし今回の選挙結果は英国の政体に多くの疑問を投げかけた。

イラク戦争は確かに問題となった。イギリスの参戦はイラクにある(といわれていた)大量破壊兵器問題が大義名分だったので、英国民の多くは意図的ではないにしろ「騙された」と思っている。対イラク武力行使が果たして国際法上合法であったかどうかかなり難しく、労働党というよりはブレア首相個人に対する不信感が強まった。あとイギリス人の中には、他の国々同様アメリカの政策に賛成するのはなんであれ嫌だという人もいる。イラク問題で支持者を増やしたのは戦争に反対した第二野党の自由民主党だった。保守党はこの問題についてブレア首相を「嘘吐き」呼ばわりしたが、イラク戦争は国際法上もっと怪しいフセイン政権崩壊で正当化したので戦争反対派からの得票はあまりなかったと言われている。

選挙についての一番の問題はイギリスの小選挙区制度であり、得票率と議席数がかけ離れていることにある。646議席中645議席の結果がすでに出ており、労働党は35.2%の票を得て356議席(55.1%)を獲得した。有権者の25%未満の支持で過半数を得るという事態なのだ。また二大政党制というのもちょっと眉唾ものだ。第二野党の自由民主党の62議席は侮れない勢力になり、今後一党政権が必ずしもあるとは限らない。英国議会史上本当に二政党が交互に政権を担当した時期というのは案外短いものだ。次回の総選挙ではどの政党も過半数を占めることができないのではといわれている。その場合やはり連立政権となるだろうが、現在の制度にはなじまないうえ英国民も理解しえないかもしれない。部数の少ない中道左派に位置して自由民主党を好意的に報道したインディペンデント紙は比例代表制の導入を求める記事を書き始めた。

総選挙で勝てば次の解散まで何でもできるイギリスの政体は下院絶対有利の実質的な一院制だ。短絡的に言えば議会が英国の主権者であり、それはまた下院を意味する。下院で過半数を勝ち取り党内が結束していれば、かなり無理な法案を通すことができる。これを象徴するのが英国内での最高裁判所になる上院が人権違反と判断した反テロ法だ。裁判なしに非英国人の無期限勾留を内務大臣の権限で行うという法律だった。人権法として英国法に組み込まれた欧州人権条約がなければ違法と判断されたか疑問だ。人権無視や個人の自由の制約などありえないとイギリス人は自分達の良識を過信しているのかもしれない。すくなくとも司法はまだ良識を保っているようだ。

英国崇拝者はこの国の議会民主主義制を完全なるもの、とは言わなくても「他国のモデルだ」と主張する。果たしてそうだろうか。

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