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「本」とは何か? 
作成2008年7月6日

「本」とは何たるか、と仰々しく学問的な話ではなく、たわいない戯れ言の類である。英国のとある大学史学部で TA (Teaching Assistant) と呼ばれる、院生が学部生の教育や指導に従事する立場におり、史料探しなどについて教えているときに、10歳も違わないのに「世代の違い」を感じるときがたまにある。小論文を書く時に必要な史料や二次文献を探すときにどこへ向かうか、ということだ。私は図書館に行く。学生はインターネットで探す。最初に断っておくが、私はインターネットは非常に素晴らしい情報源だと思っているし、よく使用している。しかし、今の学生とは異なり、子供の頃からインターネットがあったわけでもなく、最初の電子メールアドレスを取得したのが17の時だったというと学生に驚かれる。最終的には、信頼が置けるという点では出版物に頼るし、現在のところ、「本」あるいは「書物」に勝る知の媒体はないと確信している。これは本というのは多くの人間が関わり、出版過程でいろいろな判断が下されるため、その人たちの総合判断力を評価するからだ。

学生に「本を読め」というのは簡単だが、『本』とは何か定義せよ、となるとなかなか難しい。幸い私のようにひねくれた考えの学生はあまりおらず、このような質問は受けていないが、訊かれたどのように答えるか思考中だ。最初は著者がいて、言語という表現手段を用いて書かれ、編集を経て、紙に印刷され、出版装幀され、本屋で買い求める物で octavo であったら2枚の紙を使うため32ページ以上で duodecimo としたら紙1枚で48ページ以上、と考えていたのだが、著作権消滅などにより電子化され紙ではなく、画面上で読める「本」も数多くあるので、一筋縄ではいかない。本屋には本以外の物も置いてある。巻物は「本」ではないとも断定できない。また週刊誌や月刊誌や雑誌も32ないし48ページ以上あるが「本」とは呼ばない。「漫画本」を読む(見る?)こともあるが「漫画本」をただ「本」と呼ぶことに違和感を覚える人も多かろう。写真集は文章がなくとも「本」だろうか。会社の損益計算書も何百部と出版されるが「本」とは言わないような気がする。

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