安く快適に:冷房を求めて大回り

今夏2回目の熱波の真っ直中にある英国。場所によっては今日と明日の最高気温が30℃台後半に到達するという予報。この記事を書きはじめた午後3時過ぎ、ロンドン南西部では陽射しが強く暑い。暑さの山は今日明日だが、ここ1週間ほどほぼ毎日最高気温が20℃台後半または30℃を超えている。高温だが多湿ではないので、風さえ吹けば、暑いことは暑いが何もしていなければ耐えられないほどではない。しかし集中力を要する仕事や作業はもっぱらまだ日が昇りきっていない朝と日没後の夜に行っている。そして日中の暑さより、カーテンと絨毯が熱を吸って、外の気温が下がっても部屋がもわっとして夜寝苦しいのが結構きつい。

水曜日8月10日の夕方に友人と会う約束をしていた。待ち合わせ場所はハイベリー&イズリントン (Highbury & Islington) 駅。北ロンドン。私の最寄り駅はロンドン南西の地下鉄サウスフィールズ (Southfields) 駅なので、ロンドン中心部を縦断する形に。幸いサウスフィールズ駅から乗る地下鉄ディストリクト線は冷房が付いている。現在ロンドンの地下鉄路線で冷房車が運行されているのは、ディストリクト線の他にメトロポリタン・サークル・ハマースミス&シティの各線。その他は非冷房車。サウスフィールズからシティ方面のディストリクト線に乗って、ヴィクトリア (Victoria) 駅でヴィクトリア線に乗り換えるのが最速。サウスフィールズ〜ヴィクトリアが約23分、ヴィクトリア〜ハイベリー&イズリントンが約10分。乗り換えに時間に余裕を持たせても40分と考えれば良い。でも夕方のラッシュの時間帯、非冷房の満員電車に乗る気にはなれなかった。

またロンドンの運賃は同心円状のゾーンによって成り立っている。都心部がゾーン1。そのゾーン1の周りがゾーン2で、ゾーン2の周りがゾーン3⋯⋯というように。ロンドンのゾーン1の面積はおよそ45平方キロメートル。ちなみに東京の山手線内の面積がおよそ63平方キロメートル、大阪環状線内の面積がおよそ30平方キロメートルだというので、ロンドンのゾーン1はこれらの中間にあたる。運賃は peak というラッシュ時間帯と off-peak という非ラッシュ時間帯が設定されている。ラッシュ時間帯は平日の朝夕にあり、朝は6:30〜9:30で夕方は16:00〜19:00。改札を入った時刻で運賃が決まる。朝6時29分に改札を通って入れば、いつ降りても非ラッシュ時間帯の料金。なお都心部からの帰宅客が多い夕方のラッシュ時間帯料金は、ゾーン1以外からゾーン1に行く場合に課されないが、ゾーン1以外からゾーン1を通ってゾーン1以外に行く場合はかかるので、ちょっとややこしい運賃設定になっている。サウスフィールズ駅はゾーン3でハイベリー&イズリントン駅はゾーン2なので、ゾーン1にあるヴィクトリア駅経由だとラッシュ時間帯の料金がかかる。ゾーン3〜ゾーン1経由〜ゾーン2のラッシュ時間帯の料金は Apple Pay / Google Pay やクレジットかデビット・カードまたは交通系ICカードの Oyster card を使えば£3.60。非ラッシュ時間帯で£2.90。券売機で紙の切符を買おうものなら£6.30。

時間は大分かかっても、ゾーン1を通らず、そして冷房車に乗って、サウスフィールズからハイベリー&イズリントンに行く方法がある。運賃はラッシュ時間帯で£2.00(非ラッシュ時間帯は£1.70)で済むし、暑い日は助かる。ディストリクト線に乗ってウェスト・ブロンプトン (West Brompton) 駅でロンドン・オーバーグラウンドのストラットフォード (Stratford) 方面に乗り換える。サウスフィールズ〜ウェスト・ブロンプトンが約10分、ウェスト・ブロンプトン〜ハイベリー&イズリントンが約44分。そのため少なくとも1時間は見積もる必要がある。ロンドン・オーバーグラウンドはロンドン交通局が運行する近距離路線で路線図上にオレンジで表示されていて、いくつかの路線があるので、一種の総称。上にある写真はウェスト・ブロンプトンで撮影したロンドン・オーバーグラウンドの車両。ゾーン1を通らず、ロンドンの南西から西を経由して北に回る形。注意しないといけないのは、乗り換え時にゾーン1を通らないことを証明する読み取り機にスマートフォンやカードを近づけて記録する必要があること。通常の改札の読み取り機は黄色なのだが、この乗り換え・ゾーン1非利用証明の読み取り機はピンク。そのため pink card reader と呼ばれている。

ロンドン・オーバーグラウンドの車両の冷房は涼しいどころか寒いほどだった。もしあまりにも暑くて居ても立っても居られなくなったら、ロンドン・オーバーグラウンドでストラットフォードまで行ってみようか。