ロンドン日記

マネキンと目が合う

ロンドンのとある地下鉄駅近く、よく行くスーパーがあり、そこから並びに3軒ほど離れたところに美容院がある。連続住宅で1階に店が入居していて、2階と3階は住宅。まあ、中年男の私に美容院は関係ないので、存在は認識していても「ああ、パン屋の隣くらいだな」と特に注意を払ったことはなかった。ある夜、暗い道、スーパーへ向かっていると、美容院から光が漏れていた。恐らくいつもそうなのだろう。これまで気づいたことがなかった。

ひょいと目をあげたら大きい目と視線が合った。すぐにカットウィッグだとわかったから、びっくりしたわけではないが、高さが調節できる首から上だけのマネキンと目が合うのは、なんとなくシュール。変なもので、次から通り過ぎる度にこのカットマネキンを見ることが癖になった。時々向きが変わっているが、髪型は変わっていないような気がする。しかし生身の人間が美容院に行っても気づかないような男だから、実際は変わっているのかもしれない。