ロンドン日記

PKKのポスター

もう2ヶ月以上前のことだが、買い物をする時に歩く道の街路灯にこのようなものが貼ってあった。ポスターと呼べばよいのか、それともビラと言ったほうが正しいだろうか、小さな貼り紙。米国のトランプ大統領がシリアから米軍の撤収を命じたことがニュースになっていたので思い出した。

多くの国々でテロ組織として認定されているPKK:クルディスタン労働者党の標章。メッセージはドイツ語で、直訳すれば「クルド解放運動は禁じられることはない」とでもなるだろうか。我ながら変な訳。テロ組織と認定されて法的に禁じられた組織であっても、それに屈することがないという意思表示。補足すれば「禁じられることはない」というよりも、何人も「止めることができない」またはクルド解放という目的が「封じられることはない」という意味合いもあると理解している。

中東情勢は複雑怪奇であり、簡単には説明できないし、調べれば調べるほど分からなくなる。敵の敵は味方ではないかもしれないし、味方の味方は敵かもしれない。クルド人の居住地域はトルコ・イラン・イラク・シリアにまたがる。特にイラクとシリアでクルド人を中心とする勢力は、戦争・内戦状態で比較的まとまった軍事・行政の組織として外部からの支援も受けている。イスラム国に対する軍事行動では重要な役割を果たしていて、米国から間接的にせよPKKに武器が渡っているらしい。NATO加盟国のトルコにとってクルド人の独立運動は自国の領土保全の脅威であり、非常に神経質な問題である。シリアから米軍撤収となれば、イラク・シリアの各勢力にどのような影響があるだろうか。

それにしても⋯⋯バス通りであっても交通量はあまり多くないロンドンの住宅街に、なぜドイツ語のメッセージが貼ってあったのだろう。