ロンドン日記

バスの中で⋯⋯

依然として毎日数万人の新型コロナウイルス感染症の新規感染者が報告されている英国。ワクチン接種率が上がり、重篤化する患者や死者は以前の波に比べると少ないが、安心して良いのだろうか。ロンドンの公共交通機関を利用する場合は、マスクを着用しなければならないし、その旨のアナウンスが頻繁に流れる。先日バスに数回乗ったところ、マスク着用率は50%を少し上回る程度。9月下旬だが日中の最高気温が20度を超える日もあり、窓が全て開いていて換気はされているが、それでも大丈夫なのか疑問であり心配。

公共交通機関は社会の縮図。乗客の中には変人奇人も。2階建てバスの上階、通路の反対側に座ったのはマスクなしの女性。耳にイヤホンをしていて、座るやいなや大声ではないが歌いだした。何の曲だか分からなかったが、少しずれているのは明らかだった。そこまで大声ではなかったので、あまり気にしていなかったし、気にしたところでどうにもならなかった。日常茶飯事とまでは言えないが、このような事はロンドンのバスに乗っているとたびたびあるので、さして驚くようなことではなかった。公共の場で何が許容範囲内の行動かは個人によって違うし、社会的にも国や地域によって変わる。曲を口ずさむのも個人的にいかがなものかと思うが、この人の次の行動には驚いた。揺れ動くバスの中で足の爪の手入れを始めたのだ。歌いながら。化粧や眉毛の手入れをする人はこれまでに見かけたことがあるが、足の爪の手入れを目撃するのは初めて。さすがにペディキュアの匂いには閉口した。もしマスクをしていなかったら匂いは更に強かっただろう。このような傍若無人の振る舞いができるのは、ある意味凄い人だなと呆れるよりも感心してしまった。