ロンドン日記

蕎麦を買う

正月になってもおせちや雑煮そして7日の七草粥を作らないというか作れないが、明日大晦日に形だけ年越し蕎麦を食べようと思い、どこかで手に入らないかとスーパーを数軒はしごしたところ、高級スーパー Waitrose で見つけた。200グラムで£4。現在の為替レートで約620円。長野県産の有機栽培の蕎麦粉を使った十割の信州そばなので、それなりの値段がするのも納得。多くの蕎麦にはつなぎとして小麦粉が使われるが、これは十割蕎麦なので小麦粉がなく、グルテンフリーでもある。有機栽培やグルテンフリーを重視する消費者が買うのだろう。

ヨーロッパでも蕎麦を使う料理があるが、麺の形をしていない。フランス・ブルターニュ地方のガレット galette de sarrasin / galette de blé noir / galette bretonne が有名だろうか。蕎麦粉を使った生地を熱した鉄板上で薄く伸ばして、中に肉や魚やチーズなどの具材を入れて折りたたむ料理。蕎麦は東欧でも栽培されていて、例えばポーランドの食料品を取り扱っている店では蕎麦の実が kasza gryczana として販売されている。料理の一例として茹でた後にバターや豚脂で炒めたキノコや肉と合わせる。

ふと思い出したのだが、もうかなり前になる2016年の夏に Tesco というスーパーで「生そば」が見切りで安くなっていた。

蕎麦は好きなので、安くなっているし買おうとカゴに入れたが、一応原材料を確認してみると⋯⋯

蕎麦粉の割合が2% Buckwheat Flour(2%) だったので、そっと棚に戻した。韓国産なのに表示は英語と中国語(繁体字)だったのもおもしろかった。

人はそれぞれ違う風習や儀式を守るもの。大晦日に蕎麦を食べようが食べまいが何かが変わるわけではないし、そんなことは十分に理解しているのだが、形だけでも食べることによって何だかホッとする。一年が終わった安堵感が強い。時差の関係で私が英国で蕎麦をすすっている頃、日本では既に新年が始まっているというのも、考えるとおかしいようなおもしろいような。