ロンドン日記

食べ物日記2021年10月

おじさんというのは、自分が食べたものをネットに載せたがる生き物らしい。私もおじさんなので、写真を多く撮って載せよう⋯⋯と思っていたのだが、怠けて更新をサボりつづけた。このままだといつまでも投稿できないので、2022年1月も終わるというのに、今回は2021年10月に食べたものの一部を列挙する。

2021年10月2日

料理するのが面倒だったので⋯⋯レンジで調理できるものや冷蔵庫から取り出して切って皿に乗せるだけの食材を選んだ。そして洗い物を極力減らしたかったので、皿一枚に。チョリソ・ブロッコリー・黒オリーブ・赤玉ねぎ・チーズ・鯖・アンチョビ・ザウアークラウト。

2021年10月3日

近くのスーパー(生協 - Co-op)へ行ったら豚肉と袋入りですぐに食べられるクレソン・ほうれん草・ルッコラが見切りで安くなっていた。英国のスーパーで肉や魚はブラスチックの容器に入っていることもあるが、ここ数年真空パックを多く見かけるようになった。サラダは袋入りでそのまま食べられるのが主流になってきている。一人暮らしだと野菜をそれぞれ買っても新鮮なうちに消費できないので非常に便利だが割高感もある。

豚肉は味付けされていたので、そのまま焼いた。クレソン・ほうれん草・ルッコラはそのまま食べても良いのだが、さっと湯通しした方が食べやすくなるので、笊にいれて上から熱湯を掛けた。前日にもあったザウアークラウト・赤玉ねぎ・アンチョビ・黒オリーブも付けた。

2021年10月4日

毎日同じものを食べることに抵抗がないので、これから数日間は料理をしたくないと思ったら、大量に作り置きできるカレーかパスタになる。この日はカレーの気分だったので、先日安くなっていたので数袋買ったカレー粉と粉状のターメリック(ウコン)を使うことにした。他には大蒜と生姜。そしてバター。健康によろしくないかもしれないが、カレーを作る時にバターを思いっきり使う。この mild Madras curry powder に入っている香辛料はコリアンダー・ターメリック・マスタード・ヒヨコマメ・クミン・唐辛子・フェヌグリーク・黒胡椒・大蒜・ウイキョウ。辛くはないが甘いというわけではない。

野菜をふんだんに使えば良いのだが、具は鶏肉と赤玉ねぎだけ。英国で鶏肉は安い。異様なほど安い。実際には違うのかもしれないが、一消費者の感覚として牛肉や羊肉はここ数年高くなったような気がするが、鶏肉は安くなった。鶏まるまる1羽が£3で買えることもある。パブでビールを一杯飲むより安い。でもカレーにするために1羽買って捌くのは非常に面倒なので、鶏もも肉600グラムを買った。£1.35。これも安い。なお英国だと鶏肉の部位では胸肉が一番高い。

料理は一度きちんと習いたいものだが、食べるのは自分だけなので、自己責任で自己流で適当に作っている。そのため味も見た目も微妙な結果が多いが、あまりにも不味くてとても食べられないということはないし、腹を下すこともない。カレー粉とターメリックを目分量で入れ、大量のバターで大蒜と生姜と一緒に炒め、鶏肉と赤玉ねぎを投入し、パッサータと濃縮トマト・ペーストを加えた。そして2時間ほど煮込んだ。ターメリックが好きで結構入れたため黄色が目立つ。難しいのはターメリックを入れすぎると他の香辛料の味が埋もれてしまうところ。また辛くするには唐辛子を使えば良いが、これでも十分。どうにかターメリックを入れすぎることもなく香辛料の風味を楽しめた。

カレーなので米はバースマティー。日本では米は新しいほど美味いとされていて、古米よりも新米が好まれる。バースマティーの場合は逆で新米よりも熟成された古米の方が高級品とされる。格安スーパー Lidl で数カ月前に買った12ヶ月間熟成されたバースマティーを炊いた。

2021年10月5日

大量にカレーを作ったが、毎食カレーはさすがにきつい。軽い食事にしようとして、赤玉ねぎとアンチョビをパンに挟んだ。

2021年10月7日

基本的に自炊だが、出来合いで電子レンジやオーブンを使うだけで済む食品もよく買う。特に見切りで安くなっている場合は。ピザは生地が作るのが難しいし、大きくて高温のオーブンが必要となるので、買う方が楽。変な話だが時々小麦粉とチーズと肉を胃に流し込みたいという衝動に駆られる。具体的な例を挙げれば、無性にマクドナルドのダブル・チーズバーガーを食べたくなることがある。体に悪いことを自ら行いたくなるのだろうか、それとも体が脂質や糖質を求めているのだろうか。この日はそんな日。ピザの商品名は double pepperoni だったので、どんなものか期待していたが、大きいペパロニと小さいペパロニが乗っていただけのような。黒オリーブと赤玉ねぎを乗せていくらかは健康的に⋯⋯なっていないか。

2021年10月8日

具材や調理中の写真を撮り忘れた。もちろんパスタだというのは分かるが、記憶が正しければ見切りで安くなっていた牛肉のミートボールが入っている。カレーと同様、1回作れば数日分の食事になる。

2021年10月11日

フィッシュ・パイ用の魚のぶつ切りが生協 (Co-op) で安くなっていた。入っていたのはコダラの燻製・タイセイヨウダラ・サーモン。コダラ (haddock) とタイセイヨウダラ (cod) はトロール漁で補漁された。サーモンはスコットランドかノルウェーの養殖物。いずれも英国スーパーの鮮魚コーナーで見かける魚。

作るのが面倒なフィッシュ・パイではなく、簡単に調理できるパスタにした。太いスパゲッティのような形で中心に穴が空いている bucatini を使った。なかなか洒落たパッケージに入っていた。オリーブ油で大蒜・アンチョビ・パセリ・赤玉ねぎを数分炒めた後に、コダラ・タイセイヨウダラ・サーモンを入れて、最後に茹で上げたパスタを混ぜた。飾りとしてバジリコを黒オリーブに挿してみたが、どうも不釣り合いで要らぬことをした。

2021年10月12日

また全く料理の必要がないピザ。あるいはピッツァだろうか。期間限定品。その昔大学で経営学を勉強していて行動経済学に興味があった知人が、企業にとって「限定商品」というのは便利な言葉だと言っていたのを覚えている。そう名付けるだけで希少性そして特別感があって消費者の購買欲が強まるらしい。数日前の double pepperoni pizza がアメリカ風ピザだとしたら、これはイタリア風ピッツァ?

2021年10月13日

Tesco で炒め物用の牛肉が見切りで安くなっていたので、野菜と特売品で安くなっていた豆豉ソースを買って、さっと炒めて中華風に。牛肉は細長く結構硬い。

写真の写りがぶれていて悪い。ごま油で大蒜と生姜を加えた野菜と炒めて豆豉ソースを足した。そして長粒米。

2021年10月16日

前日10月15日にスーパーを数軒はしごしたら、ハンバーグとバンズが見切りで安くなっていたので、16日はただ肉を焼いてパンに挟めば済むハンバーガーにしようと決めた。消費期限が1日過ぎても大丈夫だろうと踏んで。一人暮らしで食べるのは自分だけなので自己責任。料理は下手で面倒なため簡単で素早くできるものが良い。一番大事なのは安いこと⋯⋯。バンズはブリオッシュという牛乳・卵・バターを多く使う菓子パン。でもこのブリオッシュはハンバーガー用で濃厚に濃厚を掛け合わせる。4個入りで2個は翌日の朝食に。

バンズに赤玉ねぎそしてハンバーグを乗せた。その上にハンバーグと一緒に焼いたフレーク状の大蒜と白いセイヨウワサビと緑のバジリコ。赤玉ねぎは赤というより紫なので、何か赤の食材が欲しかった。天日干しトマトがあれば良かったのに。赤でケチャップを思い浮かべる人も多いだろうが、子供の頃からあまりケチャップが好きではないので、冷蔵庫に置いていない。一人でブリオッシュのバンズのハンバーガーを2個も食べれば太るのが当たり前か。

2021年10月17日

見切りでフィッシュ・パイと電子レンジで調理するじゃがいもが安くなっていた。このフィッシュ・パイは luxury fish pie だ。タイセイヨウダラとサーモンとエビが具として入っているため高級と呼ばれるのだろう。じゃがいもは洗ったり煮たりするのが面倒というのもあるが、多くの場合1袋あたりかなりの量なので、一人暮らしだと消費するのに苦労する。

皿に移してパセリを加えた。

電子レンジで温めるだけのインド料理のセットが安くなっていたので買った。これで数食分作らなくても済む。定価だったら買わなかった。

これはサイド・ディッシュの Bombay potatoes つまりじゃがいも。ボンベイという都市の名前はムンバイに変わったが、料理名はそのまま。

2021年10月18日

昨日買ったインド料理のセットを食べた。ナンは小さく硬かった。比較として下の写真は2020年7月に宅配で頼んだカレーに付いてきたナンとパラーター。

恐ろしい量のギーが使われていたかもしれないが、ナンはふかふかしもちもちしていた。話を戻すと⋯⋯

昼食としてナンと一緒に食べたのは chicken korma という甘めのカレー。パセリを乗せただけで少し見栄えが良くなった。

夕食に残っていた onion bhajichicken tikkapilau rice を合わせて食べた。香辛料とともに玉ねぎを油で揚げたのが bhaji で天ぷらのような物。バジ・バージ・バージーと様々に字訳されている。カレーの chicken tikka は味付けがされた鶏肉がタンドール窯で調理された料理。実際にタンドール窯が使われたかどうかはわからないが。今度はバジリコで緑を足した。

2021年10月19日

出来合いのものでオーブンで温めれば良い beef bourguignon が、連日通っていた生協で安くなっていたので買った。牛肉の赤ワイン煮込み。フランス語では bœuf bourguignonbourguignon は「ブルゴーニュ(地方)の」という意味。馬鹿の一つ覚えか、多くの料理にパセリやバジリコなど少々の緑を足すだけで、少しは色合いと風味が良くなる。洗い物を増やすのが嫌だったので、このまま容器から食べた。ぐうたらにもほどがあるというもの⋯⋯。文明とはこのような所作から廃れるものかもしれない。

2021年10月21日

肉の塊が安くなっていると、ついつい買いたくなってしまう。料理も何もない。ただ焼くのみ。

あまり良い写真ではなく、全てが同じような色になってしまった。

2021年10月24日

またまた生協。下味のついた牛ステーキが安くなっていた。貧乏人の発想かもしれないが、ご馳走と言えばステーキ。味が付いている肉は口に合わないこともあり、定価なら買わないが、安くなっていれば買う。もう時間が経っているので、どんな味だったのか覚えていない。また買いたくなるほど美味くはなかったが、衝撃的に不味かったということもなかった。写真に収めていなかったら、食べたことさえ覚えていないだろう。クレソン・ほうれん草・ルッコラも安くなっていたので2袋購入。

クレソン・ほうれん草・ルッコラは湯掻き、その上に肉と一緒に焼いたエシャロットを敷き、最後にステーキを切って盛り付けた。肉は基本的にレアというか saignant が好みだが、自分で調理するのは難しい。数十秒焼く時間が短かったり長かったり、温度が数十度低かったり高かったりするだけで、出来に大きな差が生まれる。ステーキを毎回注文通りにそして絶妙な焼き加減で提供できる飲食店は凄い。

2021年10月26日

牛肉が安くなっていたので、鶏肉も買って、カレーにしようと思い立った。牛肉はアイルランド産。

バターを切らしたので買おうと考えたが、カレーを作るのであればギーの方が良いだろうと近くの Sainsbury’s というスーパーで手に入れた。

ギーをふんだんに使ったので、何か脂が光っているような。あまり健康的ではない。

脂っこいものを食べたら、野菜や果物を食べて脂を中和するというかちゃらにしようと浅はかな考えに至る。写真がぶれてしまったが、南アフリカ産のブルーベリーとポルトガル産のラズベリーが安くなっていたので、デザートに。南アフリカ産ブルーベリーは恐らく空輸なので環境に良くない。ポルトガル産のラズベリーは陸路で冷蔵トラック輸送だろうか。空輸より環境への負担は小さいが、それでも鉄道や船舶に比べると高い。でも英国で地産地消に拘ったら選べる青果物は劇的に減ってしまう。

月末は忙しかったのか、写真を撮ることに飽きたのか、よく覚えていないが、特に記録が残っていない。上記は2021年10月に食べたものの一部で、多くはスーパーで見切りで安くなっていた品。この時期は徒歩数分にある生協によく通っていた。常に安い鶏肉は別として、肉や魚を定価で買うことはほぼなかった。いくら面倒臭いので「作るのならカレーかパスタ」と言っても、カレーをこれだけ頻繁に食べたのは自分で振り返っても驚く。