ロンドン日記

臭いホタル

現在の日本で「ホタル族」は死語だろうか。それとも今でも使われているだろうか。私が子供の頃はよく耳にした記憶がある。室内で喫煙できないので、ベランダや庭で煙草を吸う人たちの煙草の火を、ホタルに見立てもの。

集合住宅の3階に住んでいるのだが、夏の間、窓を開けていることが多い。下の階の住人がベランダで吸っている煙草の煙が、部屋に流れ込んでくるのに閉口する。迷惑。窓を閉めても既に入ってきた煙草臭が残るし、暑いので風通しを良くしたくて窓を開けている。大の大人が自分の意思で己の健康を害すると知りつつも煙草を吸うのは構わないが、他人に同意なしに健康に悪影響を与えるのはよろしくない。ホタル族は自分の家や家族を守っているかもしれないが、他人に迷惑をかけている。

今となっては考えられないが、昔は煙草会社が多くのスポーツの主なスポンサーで、例えばF1の車体に大きく社名が入っていた。私が大学に入学する前、つまり20世紀末の話になるが、インターン先の職場で平然と業務時間中にデスクに灰皿を置いて煙草を吸っている人が複数いた。大学でも研究室で盛んに煙草を吹かしていた教授が数人いた。パブも煙草の煙で濛々として臭かった。飲みに行って帰宅したら服と髪に煙草の匂いが染み付いて非常に不快だった。法律と社会意識が変わり、英国で煙草が堂々と屋内で吸われていたことを体験した最後の世代に属するかもしれない。もう20年も経ち記憶が曖昧だが、学友の喫煙率は3割から4割の間だったと思う。今は低くなっているだろうか。こう振り返ると何やら野蛮な時代だった。

煙草の煙に対して結構敏感で非常に苦手だが、それ以上に気持ち悪くなってしまうのが大麻の匂い。法律上英国で大麻の所持・使用・譲渡・栽培は刑法に触れ、所持の場合は5年以下の自由刑、譲渡・栽培であれば14年以下の自由刑、そして無限の罰金刑が科せされる。しかし社会的に使用は黙認されているところがある。たとえ所持で警察に捕まってとしても、初犯で小量の個人的使用とみなされれば、警告 (caution / warning) を受けるかその場で90ポンド(現在のレートで約1万4700円)の罰金 (on-the-spot fine) を払うだけで済む。煙草ほどではないが、大学の時に大麻を常習的に吸っていたのが数人いた。

これまで時々上ってきたのは煙草だったのだが、最近誰か利用する人が越してきたのか、時たま大麻の匂いが漂ってきた。参った。