ロンドン日記

財布を忘れてプチ花見:2026年3月21日

財布を忘れて買い物に出かけて愉快なのはサザエさんくらいだ。寒くても快晴の2026年3月21日、久しぶりにワンズワースにある大きなスーパーで買い物をしようと思い、ついでにちょっとした桜並木があるキング・ジョージズ・パークのベンチに腰掛けて花見を楽しもうかと目論み、カメラと買い物袋を鞄に入れて家を出た。家から片道30分ほど歩く距離。

「今晩は何を食べようか⋯⋯」

などとぼんやり考えながら足を運び、25分ほど経って坂道を下りきって公園内に入った時、コートのポケットに何も入っていないことに気づいた。いつもなら、右ポケットに財布、左ポケットにスマートフォン。寒いので、やや厚手のを着たのだが、財布とスマートフォンを入れ忘れてしまった。

サザエさんは若いから

「ついうっかり」

で笑い飛ばせるだろうが、私のようなおじさんになると

「大丈夫か?」

笑い事ではなく自問して心配になってしまう。

「若年性認知症ではないだろうな」

疑心暗鬼に。

今更財布を取りに家に戻っても⋯⋯時間がかかるだけだった。買い物は諦めて、せいぜい桜を見て帰ろうと気持ちを切り替えた。ほぼ満開だった。

しばらくベンチに座って桜を眺めていたら、財布を忘れたことも忘れてすっかり気分が晴れた。途中で財布を持っていないことに気づいて良かった。例えば、セルフレジで全ての商品を読み取った後に、財布がないことに気づいた方がよっぽど気まずかっただろう。

帰り道、財布を忘れて⋯⋯でサザエさんを連想したのだが、本当に恐ろしいことに気づいてしまった。私は数年で永遠の54歳・磯野波平に追いつく。年齢が追いついたとしても、頭髪がもっと残っていれば良いが、どうなるだろうか。