「パリに来た」と思う瞬間

2009年3月1日

少々変な話だが、数年ぶりにパリに行き、「パリに着いた」と実感するのは地下鉄に乗っているとき。回転式の改札口、緑と白の車両、タイル張りの駅、ホームまでの長いトンネル、洒落たポスター、少しむっとする空気と流れる微妙な風、いろいろあるが、「パリに来たな」と一番強く感じる瞬間は、駅に停止する前に「カチッ」と扉のロックが解除され、同時に手動式レバーを上げ扉を開け、まだ動いている地下鉄の車両からホームに降りる人と、降りる人がまだいるのに乗り込もうとする人の姿と(無)表情、そしてブザーが鳴りドアが閉まる「パタン」という音。この繰り返し。駅を経つごとに、「来た」という実感が薄れ「いる」に変わる。なぜだろう、もう十数年前となる最初にパリに来た時の地下鉄の印象がそれほど強かったのだろうか、自分でも見当がつかない不思議。