英国経済 | 200万という数字

2008年10月19日

金融危機が英国の経済全体に広がり、バブルが弾けたよう。この数日間「200万」という数字が紙面を賑わし、テレビのトップニュースとなっている。年末までに失業者数が200万人以上になることが濃厚で、不動産価格が下がり未払いの不動産ローンが家やマンションの価値を上回る negative equity という状況に200万軒が2010年までに陥ってしまうらしい。

失業者数は来年2009年250万人まで上昇するという試算もあり、政府としては対応に苦慮するだろう。失業率が上がれば犯罪件数も比例するように上昇するともいわれ、社会への影響も甚大。失業率増加対策の一環として移民政策にも変化があり、EU外からの労働目的の入国者数をより厳しく制限することを政府が表明している。

不動産価格の急下降は同様に深刻。これまで右肩上がりだった不動産の値段が下がるとも思わず、完済あるいは一部返済したあとも次々に新しくローンを組んだため、不動産を担保にした個人ローンの不良債権化が進んでいる。政府は金融機関による担保の回収は「最後の手段」であることを強調しているが、これから資産の目減りとローン返済が困難となり回収率は高くなると報道されている。

この両点とも個人消費の冷え込みにつながり、年に一度の大クリスマス商戦にも暗い影を落としている。実際英国経済がどれだけ危機的な状況にあるかは2009年始までまたないとわからないだろう。