刑務所内で不当監禁

2010年1月6日

Mohammed Iqbal 氏は2003年に15年の禁固刑を言い渡され、2007年8月29日は服役中だった。彼は毎日、午前8時45分から11時45分まで、そして午後5時45分から7時45分まで独房から出て、清掃活動に携わったり、運動したり、家族に電話をかけたりしていた。これらは刑務所所長の権限で慣行的に認められていた行為。しかし、この日、彼が独房から出られたのは1分にも満たなかった。

理由は看守の不法スト。この時期、看守は給与に不満があり、労使関係が良好でなく、ストライキを行うことにした。このようなスト行為は雇用契約に違反するため、刑務所側が高等裁判所にストを中止させる差し止め命令を請求することができた。そのため、看守側は刑務所側に時間を与えないよう前日の28日に全国スト決行を決定し、翌29日朝に Iqbal 氏が収監された Wealstun 刑務所の看守にストを通告。「出社」してきた看守に次々とストが伝えられ、また刑務所所長や刑務所警備長にもストの情報が伝わった。これを受けて刑務所所長は、受刑者は独房に残るよう指令書を発行。しかし Iqbal 氏の独房があった A 棟には伝わらなかった。

一審の裁判官は、不法ストのためにこの日に独房から出られなかったのは不当監禁に当たるとした Iqbal 氏の主張を認め、5ポンドの損害賠償を言い渡した。この判決に対し、看守側は不当監禁した責任を裁判所が認めたことを不服とし、また Iqbal 氏は損害賠償額を不服として、両者ともに上告。そして、上記のリンクにある控訴審の審決があったのは昨年(2009年)12月4日。

3人の裁判官は2−1で看守側の上告を認めた。理由は幾つかあるが、まず、看守は積極的そして意図的に Iqbal 氏を不当に監禁したわけではなかった。ストで Iqbal 氏が独房に閉じ込められたのは、看守の職務放棄でいわば不作為に起因するものだったとしている。そしてスト行為は Iqbal 氏が独房から出られなくなった事態の直接的原因でないことが挙げられた。受刑者を独房から出さないという指令を出したのは、看守ではなく、刑務所所長だった。そのため、看守は補償しなければならない不法行為を行っていない。ただ、不当監禁であったならば、損害賠償は5ポンドでは少な過ぎ、刑務所内とは言え、1時間あたり20ポンド、通常認められている6時間(?)で合計120ポンドが損害賠償額として妥当と付け加えた。