2011年英国選挙:結果と今後の展望

2011年5月7日

2011年5月5日に投票が行われた英国の各選挙の結果の重要なポイントをまとめると、以下のようになるだろうか。今回行われたのは、選挙制度変更の是非を問う国民投票、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各議会、北アイルランド地方自治体、そしてイングランドの一部地方の市長選挙や地方自治体選挙。

(1)スコットランド国民党が大勝利 (スコットランド議会)

(2)国民投票の結果、現行の選挙制度が維持されることに

(3)自由民主党の大敗 (スコットランド議会・イングランド地方選挙)

(4)労働党、党勢回復には疑問符 (スコットランド議会では大敗・イングランド地方選挙では主に自由民主党から席を獲得)

(5)保守党は堅調 (全国的に安定感)

スコットランド国民党が大勝利

労働党王国のはずであるスコットランド。しかしスコットランド議会そして連合王国議会ともに野党の立場にありながら、労働党はスコットランドでは大敗を喫した。国民党はスコットランド議会129議席中69を獲得するという、想定されていなかったほどの大勝。これでこの4年以内にスコットランド独立の是非を問う国民投票が行われるのはほぼ確実となった。どのような形の「独立」となるのかは不透明だが、今後連合王国に与える影響は大きいだろう。完全な独立ということはないかもしれないが、税制を含め内政に関してほぼ完全な自治権を今後求めていくだろうし、そうなれば、なぜスコットランド選挙区選出の議員が連合王国議会でイングランドに関する法律に関与することができるのか、より大きな疑問が呈せられる可能性がある。

国民投票:現行維持

ここ最近の世論調査通りの結果であり、保守党と労働党の一部の勝利、そして自由民主党の負けということ。ただ、全席単純小選挙区制の連合王国議会が民意を反映できるか、問題は残りそうだ。

自由民主党の大敗

ウェールズでの得票率下落はさほどひどくなかったが、スコットランド議会選挙およびイングランド地方選挙では無惨な結果となった。自由民主党の支持者の多くが2大政党の保守党・労働党を良しとしない人々で、保守党との連立に対して批判的。保守党・労働党の政権を批判する野党として支持を伸ばしてきたこともあり、風当たりはかなり強い。今後とも厳しい状況が続きそう。

労働党:道まだ険し

緊縮財政を押し進める連立政権に対し、有権者の間には不満があるのだが、労働党はまだまだそれを追い風にできるような立場にはない。スコットランドでは自由民主党から票はスコットランド国民党に流れたし、労働党自身も得票率を落とし、党の重鎮を失った。スコットランド労働党のグレイ党首も151票差で辛勝という結果だったので、スコットランド議会での大敗は労働党にとっては大きな痛手で、ミリバンド党首の指導力に疑問符がつくかもしれない。一方イングランドでは自由民主党から席を奪ったが、保守党から多くの議席を獲得するわけでもなかった。なお、今回改選されたのは、2007年に争われた議席で、労働党の人気がかなり落ちていたときなので、もし党に回復の兆しがあれば、大勝すべきだったが、そうでもなかったのが実情。ウェールズでは議会の議席の半数を得たが、落ちたのはウェールズの党と自由民主党の支持で、保守党の得票率は上昇した。つまり一気に保守党中心の連立政権に揺さぶりをかけて、総選挙に追い込むような勢いは全く見られない。

保守党:堅調

保守党支持層は安定している模様で、いずれの選挙においても特に悪い結果ではなかった。連合王国の3政党(保守・労働・自由民主)の中では、恐らく唯一この選挙の結果に満足できるのではないだろうか。