英国政治 | 金融危機でブラウン首相に好機? 解散総選挙の可能性

2008年10月19日

これまで人気が下落して、最大野党・保守党に押され気味の労働党ブラウン首相だったが、世界的な金融危機においていち早く銀行への資本注入を決断し、世界の「救世主」あるいは「ヒーロー」扱いされている。そのため英国の世論調査でもブラウン首相・労働党の支持率が回復しつつある。一部の政治評論家の間では、失業者増加と経済の失速が顕著になると思われる2009年・2010年の前に、下院を解散したほうが労働党に勝算があるため、総選挙が間近という臆測がある。そのせいか、これまで全面的と言ってよいほど政府に協力的だったキャメロン保守党党首も、ブラウン首相の財務大臣時代の政策を中心に首相を批判してきている。ブラウン首相は2007年秋に総選挙に打って出る機を逃しており、非常事態に対応する危機管理能力は持ち合わせているものの、自分で断を下すことには非常に慎重な性格のよう。新聞を読むかぎり早期解散総選挙の可能性はあるものの、投票日までに経済が安定せず、逆に悪化するリスクを抱えることを考慮すると、実現しないだろうという意見が多い。