2010年英国総選挙 | 連立協議・ブラウン首相辞意表明

2010年5月10日

先週の総選挙の結果を受けて、連立協議が続いている。まず保守党と自由民主党との間での協議がここ数日進んでいたが、今日(2010年5月10日)午後5時、ブラウン首相が記者会見を行い、労働党党首として辞意を表明した。これをもって、労働党は秋の党大会前に新しい党首を選出する。自由民主党は第1党の保守党と協議を行っていたが、自由民主党が求める単純小選挙区制という現行の選挙制度の改革において、保守党と隔たりがあった模様。自由民主党のクレッグ党首は総選挙で敗退したブラウン首相との連立には難色を示していたので、ブラウン首相の辞意表明は労働党と自由民主党との連立協議を可能とした。これから自由民主党は保守党との協議を続けるが、労働党とも正式に協議を始めるという。保守党・自由民主党の連立は363議席で安定した多数になるが、労働党・自由民主党の連立は過半数の326に届かない315議席。安定多数なら自由民主党は保守党との連立を選択するだろうが、政策面では自由民主党は保守党より労働党の立場に近い。これから安定した連立政権を樹立することができるか、熾烈な駆引きが続くだろう。

なお、実質的な過半数は定数の650/2+1の326ではなく、321。まず議長は選出後政党には属せず、国会において投票はしないし、3副議長も政党には所属するが、国会運営においては政治的中立な立場。そして5議席を獲得した北アイルランドのシン・フェイン党の議員は国会には参加しない。650から9を引いて2で割ると320.5。そのため321議席が実質的な過半数。