独り言 | ルネサンス多元論

2009年8月27日

『ルネサンス』は他の歴史的事象や運動あるいは主義主張、例えば『啓蒙主義』のように、ある歴史上の時代を一言でまとめるときに用いられる。しかし煎じ詰めて『ルネサンス』とは何か、一カ所で始まり常に統一された運動であったのか、そしてどこが『ルネサンス』の土壌となったかなど、学界でいろいろな議論や説がある。

一般的に『ルネサンス』と言うと、「イタリア」というイメージがある。これは間違ってはいないと思う。ただ、ギリシャやローマの古典復古だけで済まされるわけにもいかないし、イスラム文化圏とビザンツ帝国という、古典をただ守った東からの知識の流れだけで説明が付くわけでもないように思える。例えば、イベリア半島のアル=アンダルスの影響もあったのではないだろうか。

皆が納得する定義は難しい。例外やあれもこれも括って説に組み入れると、あまりにも広義な解釈となってしまう。それゆえ、これからも『ルネサンス』について議論が続くことになるだろう。