サッカー国際親善試合 | イングランド2:3オランダ

2012年2月29日

Capello 監督が最近代表監督を辞任するという波乱があったイングランドと、2010年南アフリカW杯で準優勝したオランダの対決。そう言えば、ワールド・カップ前にも、この2国は親善試合で対決して、2:2で引き分けた。

前半、イングランドは若手選手を起用し、オランダは主要選手が先発メンバーに名を連ねた。これまで、イングランドというと、攻撃的中盤選手が多かったが、この試合では Parker と Barry の2選手が先発し、どちらかと言うと守備重視の体制。国際試合出場の経験が豊富なオランダの選手にはやはり安定感がある。なにせ守備選手の前に Van Bommel と De Jong という選手という壁があるので、イングランドからすると、攻略は難しい。そして、オランダには Robben | Sneijder | Kuyt という攻撃型中盤選手に Van Persie 選手が加わるという攻撃力があり、いつ一発あるか分からないので、守備が万全でなければならない。前半終了に近づくにつれて、イングランドは右翼からの攻撃が効果的だったが、何となく詰めが甘く、最後のパスが出ない。一方、オランダの型は守備6に攻撃4というい感じだろうか。決定機はあまりなかったが、球を回す技術は優れていたし、イングランドの攻撃も数回の例外を除き、巧く封じ込めた。前半は0:0で終了。

後半、この試合は、オランダが2分内に2得点、そしてロスタイムを含めた最後の10分ほどに3ゴールが決まるという展開になった。結果はオランダが3:2で勝利。そのうち、2点は Robben 選手によるもの。57分、オランダのゴールは Robben 選手の個人技だった。自陣からボールをずっと運び、シュートを放ち、ゴールを決めた。しかし、完全に一人で決めたわけではない。イングランドの守備選手2人を引き出した Huntelaar 選手の動きがあってこそ、シュートの機会が生まれた。点を奪われると、動揺したり、これまでの作戦の変更などを迫られる場合もある。落ち着くことが一番重要だったが、イングランドの若手選手に動揺があったのだろうか、オランダは間髪を入れず2点目を決めた。右から Kuyt 選手のクロスに Huntelaar 選手がヘッダーで合わせた。このゴールの際、オランダの Huntelaar 選手とイングランドの Smalling 選手が衝突、両名とも負傷して交代。この2選手負傷と2得点という展開のためか、このあと、試合のペースは落ちて、このまま2:0で終わるような気配が漂ったが、85分、オフサイドの位置から、守備の Cahill 選手がボールを受け取り、落ち着いて得点。イングランドに俄然元気が出て、左からのクロスを起点に、巧くパスで球を素早く回して Young 選手が同点ゴールを決めた。このまま、2009年同様に2:2で終わるかと思えたが、オランダ Robben 選手が、弧を描く素晴らしいゴールを決めて、勝負あった。

イングランドの最初の得点がオフサイドであったとしても、オランダの守備はもっとしっかりとしているべきだっただろう。イングランドはホームで負けたし、守備の集中力が途切れたりもしたが、国際試合出場の経験がこれまであまりない選手が多くピッチに立ったので、今年の欧州選手権ではなく、2014年W杯に向けたチームを作るという点では、収穫があったのではないだろうか。オランダは、欧州選手権でドイツ・ポルトガル・デンマークと同じ組。手強い相手が多いので、2得点後に2点奪われたことは課題かもしれない。守備陣4名が鉄壁とは呼べそうにないので、いかに守備型中盤選手を配置して、試合の流れを掴むかが重要となるかもしれない。