インターネット | 新聞と双方向性

2008年12月27日

ウェブ2.0の中で重要視されているのが双方向性。情報を一方的に発信するのではなく、コメントを受け付け、会話をすると言えばよいだろうか、つまり書き手と読み手という立場が絶対ではなく、お互いが議論に参加することに意義を見つける。

日本の大手の新聞を見ると、どうやら双方向性に対して消極的。読者の意見をインターネット上で募り掲載するということをほとんどしない。読売新聞の「発言小町」や産經新聞が主なニュース源の「イザ!」または北海道新聞の「道新ブログ」などがあるが、記事についての批評や記者によるブログなどは一般的ではない。これは欧米の新聞サイトと大分違う。例えば英国の Guardian 紙の Comment is free という場で良くも悪くも喧々囂々の議論が展開されるし、フランスの Le Monde 紙では購読していればブログを開設することができる。BBC や New York Times や Economist でも多くの記事にコメントを残すことができる。編集部に掲載非掲載の権限があるが、サイトや記事に対し批判的なコメントも誹謗中傷の類でなければ、大抵反映される。その新聞の主義主張が表に出る論説だけではなく、一般のニュースでもコメントを受け付けている。

印象として、日本では既存マスコミ・メディアに対し批判的なブロガーが多いので、「叩かれる」と躊躇している部分があるように見受けられるし、論説を全面に出すより事実を伝えることに重点を置く日本の新聞では、様々な主張が飛び交うと中立性を損なうという危惧でもあるのだろうか。あと情報発信のプロとして「読者は読者で受動であるべきだ」という、読者を受け皿としか見ない考えや態度があるのかもしれない。

いわゆる「荒らし」や「炎上」という危険性もあるだろうが、新聞にはサイトに書いてあることに対し自信と責任を持つべきで、少なくとも社説については、サイト上で意見を募り掲載すべきだ。ブログ界で何を言われても、「我天下の新聞社で痛痒感ぜず」で発信のみに徹していてはあまりにもネットに対し鈍感であるし、不信感を煽る。新聞にはニュースを伝えることも重要だが、啓蒙という役割があると願う。ただ啓蒙は新聞社の特権ではなく、参画型の方が良い。そして商売の視点からも、議論が続けば、閲覧者の数も増えるだろうし、広告収入も増えるはずだ。