徘徊するハイエナ、悪霊を追い払うハイエナ

都市部に住み、人間社会と共存する野生動物は多くいる。日本ではカラス、英国では狐がその典型だろうか。共存といっても、つまりはゴミをあさるので、害鳥害獣扱いとなっている。カラスも狐も、例外的に人を襲うこともあるが、通常は近くにカラスがいようが狐がいようが、生命の危険を感じることはない。カラスや狐が多く都市部に住んでいて、増えているのは、ゴミをしっかりと処分しない人間に非があるよう気がしてならない。

さて、エチオピアの首都アディス・アベバで、街を徘徊しているのは、なんとハイエナ。それも300〜1000頭が棲息しているという。野良犬や野良猫の頭数抑制に役立っているし、馬や他の動物の死骸を処理しているが、2011年には空港に現れ飛行機の発着に支障をきたしたために猟師が出動したり、埋葬されていた遺体を掘り返したりするという。そして、中にはホームレスの人々を襲うこともあり、当局も対応を迫られている。

都市部にハイエナがいるのは、すでに想像すらつかないが、更に仰天したのが、ソマリアでの話。戦乱が長く続いていて、気分高揚をもたらし薬物依存を引き起こすアラビアチャノキが大量に消費されているソマリアでは、精神障害者が多いという。多くの場合、精神障害者は、鎖で縛られたりと、治療ではなく、ひどい仕打ちを受けている。そして、伝統的な「治療」の方法として、ハイエナと檻の中で一晩過ごすというのがあるそうだ。どうやら、ハイエナは何でも見透すことができて、人の中の悪霊を追い出せると、多くの人に信じられているため。もちろん、大怪我を負う「患者」も出る。

このようなニュースを読むと、ロンドンで比較的よく見かける狐が可愛らしい存在に思える。