短評 | Leonardo da Vinci

2009年2月12日

「読書が趣味」だが、趣味として読む本も歴史関係になってしまう。このレオナルド・ダ・ヴィンチの伝記も、専門分野とは関係なく、狭義での「勉強のための本」というより「趣味」にあたるほうだろうか。一年半前ほどに買った、いわゆる積ん読本の一冊だったが、電車や地下鉄に乗っているときに読むようになり、数日かけて500ページを読了。

まず感想として、読み易い。専門用語が並ぶような研究書ではなく、イタリア・ルネサンスについてあまり知識のない私でもよく理解できるように書かれている。

レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を誕生から死まで、彼と周辺の人物を中心に年代順に追っている。彼の幼少期についての史料はどちらかと言えば少なく、心理学を応用したりして、レオナルド・ダ・ヴィンチという人間像を求めている。歴史上の人物に心理学を応用することには、方法論として問題があるかもしれないが、左利き、非嫡出子、同性愛者、公証人の父親との確執などの面でなかなか考えさせられるところがある。史料がよく残っている時期でも残る謎、例えばモナ・リザの完成日やモデルについて、現在の研究をまとめ、著者の見解を示している。理想化されない、でもやはり天才だった一人間の人物像が見えてくる。

専門家やルネサンス芸術に造詣が深い読者であれば、「物足りない」と思われるかもしれないが、レオナルド・ダ・ヴィンチという人間について知りたいのであれば、格好の本だ。