軽く編集して掲載できる記事はないかと探していたところ⋯⋯2009年に次のような文章を書いていた。
旅行で「パリに来たな」と実感するのは地下鉄に乗っているとき。回転式の改札口、緑と白の車両、タイル張りの駅、ホームまでの長いトンネル、洒落たポスター、少しむっとする空気⋯⋯いろいろあるが、一番実感するのは、駅で完全に停止する前に「カチッ」と扉のロックが解除されると同時に手動レバーを上げ、扉を開け、まだ動いている地下鉄の車両からホームに降りる乗客、降りる人がまだいるのに乗り込もうとする無表情の人々、そしてブザーが鳴ってドアが閉まる「パタン」という音の繰り返し。駅を経つごとに「来た」という実感が薄れ「いる」に変わる。もう何十年前となる最初にパリに来た時の地下鉄の印象がそれほど強かったのだろうか、自分でも「どうしてだろう」と不思議。
【写真】フランス・パリの地下鉄の車両。手動レバーで開閉するドア。2010年3月20日撮影。
パリのシャルル・ド・ゴール空港で飛行機を乗り継いだ以外、パリに10年ほど行っていなかったが、2024年1月に行った際、乗った地下鉄車両は全て新型に置き換わっていて、ボタンで扉を開閉するようになっていた。もちろん新しい車両の方が性能も良くて快適で安全だろうが、なにか寂しいような。