空飛ぶオランダ人

飛行機を爆破しようとした容疑者を取り押さえたのが、乗り合わせていたオランダ人だったというニュース。上記は産經新聞ウェブサイト版にあった見出しで、恐らく Flying Dutchman を「空飛ぶオランダ人」と訳している。釈然としない。もともと Flying Dutchman とは喜望峰近海で、風を罵ったため呪われ、永遠に海を彷徨う運命を負ったオランダ人船長のこと。リヒャルト・ヴァーグナーのオペラ Der fliegende Höllander の題材ともなっている。通常は「さまよえるオランダ人」と訳されていて、決して飛行機に乗る「空飛ぶオランダ人」ではない。確かにこの人は飛行機に乗って飛んでいたので、そこのところをかけて Flying Dutchman と見出しを付けた英語メディアもあるだろうが、わざわざ括弧に括って日本語に訳す必要はなかったはず。これではまるで誤訳された幽霊にでも助けられたのかと思ってしまう。