2008年米大統領選挙 | いばらの道?

2008年10月21日

いよいろ終盤戦に突入した今年の大統領選挙は、民主党候補のオバマ上院議員が共和党マケイン上院議員に対し優勢を保っている。よほどのことがないかぎりオバマ氏の勝利となるだろう。

金融危機や国際政治など2009年に就任する大統領には課題が山積している。

まずは劣勢のマケイン氏が挽回し勝利したとしても政権運営は非常に難しくなるだろう。議会では上下両院で民主党が過半数を占めるし、大統領選挙のあと「短気な」マケイン氏が民主党と協調できるか疑問で、共和党の内輪もめも心配の種。大統領マケイン氏・副大統領ペイリン氏となったら主義思想で隔たりがある。ペイリン知事は中絶に絶対的に反対などの面でかなり保守的で、共和党の保守層の票固めに今回選ばれたのだろう。共和党の異端児マケイン氏はどちらかといえば保守的な無党派層、ペイリン氏は保守層に訴えることで票を確保するつもりなのだろうが、もしマケイン氏の勝利が、無党派層に食い込んだわけではなく保守層が挙って投票したとしたら、ペイリン氏派が主導権を握り社会政策が右傾する可能性がある。

民主党勝利の方が現在米国が抱える難題に対応できるだろう。まずブッシュ政権からの明確な決別となり、議会も民主党主導だから大統領としても政治を行い易い。オバマ氏は勝利したら、2010年中間選挙までになんとか景気を上昇気流に乗せ、勢いをつけて2012年に再選を目指すのが順当だ。最初の1年に有権者受けは悪いが必要な政策を発表し実行する機会がある。ただ期待が大きいだけに反動も大きくなるかもしれないので、大胆さと慎重さが共に重きをなすため、難しい綱渡りとなる。