請求書を送ったのに⋯⋯

個人事業主のぼやき

請求書を送ったのに、期限までに支払いがないのは、まあ、個人事業主にしろ会社にしろあること。そして催促状を書くのは、あまり気持ちの良いものではない。もちろん払わない相手が悪いのだが、催促状を書く間は結構気を揉むし、個人事業主だと催促状を書いている時間は収入にならない。別途請求することもできるだろうが、話はさらにこじれてしまうだろう。これからも取引関係を維持したい場合は、特に気を遣う。一方、単発の案件で納品してしまうと、もうこちらには交渉の切り札はなくなってしまう。これまで何回か支払いが遅れたことはあるが、幸いに踏み倒されたことはない。幸運なことだと思っている。一度「やあ、悪い悪い、忘れてしまった」などと気楽なことを言ってきた相手もいた。納品の期限についてはやたらうるさいのに。

翻訳あるいはウェブ関連の仕事をする友人知人の中には、何回も催促状や督促状を送付したのに、相手が全く応じなかったということも。特に悪質なのは、支払いを引き伸ばして踏み倒す場合。まず担当者が不在になって、数週間後には担当者が違う人に代わり、向こうが請求書を紛失したので再送すると再送した日から期限日を再計算されて、数カ月間待ったあと、連絡が取れなくなったというケース。他に酷い例として、小口案件を数回きちんと支払い、信頼関係を築いてから大型案件の請求書を踏み倒すという話。このようなことを耳にすると、他人事とも思えず腸が煮えくり返ってくる。

契約があるので訴えればよいのだろうが、インターネットを通じて仕事を行う時代、いくら完璧な契約書があってもそう簡単ではない。まず発注者と受注者が違う国に住んでいる場合、どこの契約法が適用されどの裁判所の管轄か合意したとしても、よほどの金額でなければ、訴訟は時間的にも金銭的にも現実的な手段ではない。そして勝訴しても、実際に債権を回収できるだろうか。被告が同じ国で近所にいたとしても、法人であれば、勝訴後偽装倒産のような形で潰れている可能性もある。

インターネットを主に利用し、特定の場所にいる必要がない業種だと、今後も競争が激しくなり、単価は下がり、雇用が流動化する世界となるだろう。個人事業主にとって、リスクは高まっていくだろうか。