激安スーパーの高級チョコ

子供の頃は苦手だったが、今では好物になったものの一つに、ダーク・チョコレートが挙げられる。甘いミルク・チョコレートも好きなのだが、下手するとばくばく食べてしまうので、健康面でも家計面でもダーク・チョコレートを小量で楽しむ方が良いはず。

浅はかなので、単純に「カカオ分が高ければ高いほど良い」と思い込んでいて、買うならカカオ分80%以上を探し求める。写真にあるチョコレートは Lidl (J. D. Gross)Aldi (Moser Roth) で購入。ともに125グラムで、カカオ分81%の Lidl のチョコレートが£1.29、カカオ分85%の Aldi のチョコレートが£1.39。カカオ分4%の差が10ペンスの差だろうか。また Lidl のチョコレートは板1枚に対して Aldi のチョコレートは25グラムずつに小分けされてそれぞれ包装されている。味覚には個人差があるし、好みも分かれるだろうが、私は Lidl のチョコレートの方が美味いと思う。

LidlAldi 両スーパーともに安いことが売り。チョコレートも安いのとやや高めのがある。高級感または割安感を醸し出すのに不可欠なのが包装のデザイン。これらのダーク・チョコレートは高級品という位置づけ。いかにも「安いですよ!」と訴える安っぽさではなく、値段はちょっと高めだけど、その分美味しいですよということを強調する高級感の演出が必要。両品とも落ち着いた色を基調に箔押し加工だろうか金色の文字。赤と黒の箱の J. D. Gross には紋章があり、その中に Königlicher Hoflieferant と書かれている。王室御用達ということなのだが、どの王室だったのだろうか。なんとなく19世紀の雰囲気。一方、紫の箱の MOSER ROTH の文字はアール・デコを彷彿させるので、1920年代にあたるだろうか。それぞれ伝統や良き時代を連想させようとしているマーケティング戦略だと思う。

いくら包装が商品の情報を伝えようと購買欲を高めようと、中身が不味ければ二度と買う客は多くいないだろう。値段と期待は相関するはず。その点、激安スーパーにとって高級チョコレートは案外リスクが低いのかもしれない。高級店の高額な高級チョコレートが不味かったときの悔しさというか裏切られて損をした失望感は、期待するところがある分大きい。一方、激安スーパーの高級チョコレートが美味ければ期待以上で喜び、不味ければ「まあ、そんなものだろう」と簡単に諦めもつく。

J. D. GrossMOSER ROTH も安いスーパーのPB商品かもしれないが、製造者は有名な製菓会社。ベルリンのジャンダルメン広場に大きな旗艦店を有す Rausch SchokoladenwarenLIDLJ. D. Gross ブランドのチョコレートを、そして merciWerther's Original のブランドで知られる August Storck KGAldiMOSER ROTH ブランドのチョコレートを製造している。

そろそろなくなってきたので、またどちらかのスーパーに行ってダーク・チョコレートを調達してこようか。