モカポット

堅実なのか吝嗇なのか、カフェでコーヒーを飲むとついつい「高い!」と思ってしまう。友人との待ち合わせ場所として利用する時など、コーヒー代というよりも場所代と考えている。カフェにお金を払って得ている対価は、コーヒーではなくて座って待てる場所。

最近その傾向が一層強くなっている。今年上半期に買ったもので、私の生活環境、横文字を使えばクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に最も寄与したのは Bialetti のモカポット。そんなことでQOLが上がるなんて、どれだけみすぼらしい日々を送っているのかと思われそうだが、たかがコーヒーされどコーヒー。朝に美味いコーヒーが飲めるのと飲めないので、一日が全く違う。

IH調理器の上に置いてある Bialetti Venus モカポットと Le Creuset のマグカップ

これまでにもコーヒーは紙フィルターや金属フィルターなどで作ってきたが、どちらかというと濃い目のエスプレッソに近いようなコーヒーで「さあ、今日も始まるぞ」と気合を入れたいので物足りず、かと言ってエスプレッソ風のインスタント・コーヒーも味に癖が。カプセル式のコーヒー・メーカーも見たのだが、まず機械を買わないといけないし、その後もカプセルを買い続けないといけない。そしてカプセルの単価は高そう。そのため何か良いマキネッタはないか探していたのだが、IH調理器で使えるタイプは少なく値段も総じて安くなかった。

3月初頭に何気なく Amazon を閲覧していたら、IH対応でエスプレッソ4杯分が作れる Bialetti のモカポットがセールで数ポンド安くなっていたので買った。数ポンドの差であり、今からすれば安くなっていなくとも買っただろうが、買った後にセールで安くなっているのを発見すると悔しい思いが募るような買い物。

プライム会員なので翌日に配達された。説明書通りにまず水で丁寧に洗い、3回コーヒーを作っては捨て、4回目にして初めて飲めることに。重要なのは、粉状のコーヒー豆を押し込まず詰めすぎないこと、そしてできるだけ低温で作ること。IH調理器で60℃か80℃に設定。なるほど、なかなか美味いコーヒーを淹れることができると自画自賛。全てはIH調理器とモカポットのおかげなのだが。

美味いコーヒーができるのであれば、ちょうどよいコーヒー用のカップもあればなと欲が。街に行けば必ず立ち寄るディスカウント・ストアの TK Maxx で、200ミリリットルのちょうど良い容量のカップがあったので購入。上記のようにモカポットはエスプレッソ4杯分作れる仕様で、朝の一杯に最適の量。カップはほぼ完璧なサイズだった。

ほとんどの日は朝の一杯だけで済むようになったので、飲んでいるコーヒーの総量は減っている。以前にもコーヒーを減らそうとしたのだが、どうしもて集中したいときなど、景気付けに無性に一杯飲みたくなって、結局午後にもコーヒーを摂取する日もたびたび。それがモカポットを買って以来なくなった。それだけ朝の一杯が強くも美味くもある。

金色のパッケージの Lavazza Qualità Oro 粉タイプのコーヒー(250グラム)2パック

コーヒー豆で好きなのは既に粉に挽いてある LavazzaQualità Oro という銘柄。大抵スーパーで250グラムの1パックは4ポンド以上するが、特売で2パック6ポンド(つまり1袋あたり3ポンド)になると買い溜めしている。さっと一杯飲むのであれば、同じ LavazzaCaffè Espresso の方が美味いと思うが、5分10分かけて楽しみながら飲むのなら Qualità Oro を選ぶ⋯⋯なんて偉そうなことを言っているが、特売になっていればどんなブランドでも買う。

数ポンドで数週間分のコーヒーになる。カフェでコーヒーを飲んだら、一杯でその値段になってしまう。もし流行り物のナントカチーノを飲むなら、材料もないし自家で作ることもできないので、高くても納得できるかもしれないが、中年男の私には似合わぬだろうし、ただコーヒーが飲みたいだけ。カフェのコーヒーが自分で作るコーヒーより何倍何十倍美味いということもない。それでも街中にあれだけ多くのカフェが共存しているのは、原価率が低く比較的簡単に作ることができても、コーヒーを買う客が多いためだろうか、それとも私のように場所代と割り切っているのか⋯⋯モカポットでコーヒーを淹れながら考えてしまう。