残りの5%

もう5日前になる土曜日の夕方、料理をするのが億劫になって、ただ焼くなり煮るなりするだけで済むものはないか⋯⋯と思って近くの生協に買い物に行ったところ、消費期限が迫っていたハンバーグが見切りで安くなっていた。日本語では区別される挽肉を固めた「ハンバーグ」もパンに挟まれた「ハンバーガー」も、英語では単に burger と呼ばれることが多い。

英国の生協は他社のスーパーと変わりなく、組合員でなくても利用できる。組合員になるには加入金1ポンドを払う。加入するとポイント制度に参加できる。還元率は生協ブランドの商品で2%でそれ以外の商品にはつかない。他のスーパーのポイント制度だとある程度貯まらないと使えないが、生協は次回の買い物でいくら少額でもすぐに使えるのが良い点。以前は5%と太っ腹だったが、2020年に現在の2%引き下げられた。商品によって、5%の還元率なら他社の類似商品より安くなっていたのに、2%だと高いという現象も起こるので、この3%は結構な差。こんなことを気にせずに生きていきたいものだが、少額で同じ商品だと僅かな差でも大きく得した損した気分になるから不思議。

買ったハンバーグは2個入りで各170グラム計340グラム。定価£3.20が£1.34になっていた。何事も斜に構える友人によると、ソーセージやハンバーグはどれだけ腸詰めや挽肉にしかできない安い部位を使って、どれだけつなぎで水増しして原価を抑えることができるかが重要らしい。確かに肉の含有率の低くて不安になる安いソーセージもあるが、このハンバーグは生協の高級PB Co-op Irrisistible の商品で、牛肉95%だという。このような数字だと却って残りの5%が気になる。

原料を読んでみるとなかなかおもしろかった。牛肉95%の他にはつなぎ・塩・黒胡椒・酸化防止剤のピロ亜硫酸ナトリウム・ひまわり油。興味深かったのはつなぎ。小麦粉などグルテンを含む原料を排除して、米粉・ひよこ豆粉・トウモロコシのデンプンが使用されている。小麦アレルギー・グルテン不耐症の人でも安心して食べられるようになっている。パッケージにも gluten FREE の表示が。

いつ頃始まったかよく覚えていないが、英国では比較的小さなスーパーでもグルテンフリーやビーガンの食品のコーナーが設けられている。グルテン不耐症でなくても、グルテン排除の食生活は健康に良いとして一部では流行っているらしい。知人にセリアック病患者がいるが、昔は買い物でも外食でも大変だったが、今は食品の表示が明確になったし、レストランのメニューにもどの料理がGF (gluten free) か、ベジタリアン・ビーガンなどと共に明記されるようになって、非常に楽になったと言っていた。

つなぎに小麦粉を使った方が安いと思うのだが、高級PB商品なので、販売価格も高めに設定して、アレルギー対策としてではなく健康食品として購入する層も訴求対象にしているのだろうか。私は「美味ければ何でもよし、安ければ更によし」という単純な人間。