安い光

私が子供の頃、日本では蛍光灯、英国では白熱電球が家庭用照明器具として一般的だった。頻繁にと言わなくても、一年のうちに家の数カ所の照明を交換していたが、今や電球交換は珍しい出来事。何年使っていただろうか、先日電球形蛍光灯が切れた。フィラメントがなくなるわけでもないのに、電球が「切れる」というのはどこかおかしい表現。また現在使われている単位はルーメンだが、ワット換算でないと明るさが想像できない。古い人間である。

切れた電球を交換するため、どこかで新しい電球を買うことに。でも電球はいくらなのかという疑問が。トイレットペーパーなど消耗品でよく買うものなら、値段を見てすぐに高いか安いか判断できるが、滅多に買わないものだと相場を知らない。数店回ってみたところ、60ワット相当のLED電球が安くても3ポンド(現在のレートで約500円)はしていた。高くはないし、あった方が便利なのでさっさと買うべきだったが、ついつい「明日は違う場所で値段を確認しよう」と先延ばしにして数日⋯⋯大きな Sainsbury’s というスーパーで在庫処分セールになっていたのを発見した。1箱2個入りで£1.50。1個あたり75ペンスで約125円。

白熱電球の時代、大体1箱に4個か6個入っていて家に常に備蓄があったが、1個あたりいくらだったのか全く覚えていない。だが寿命と消費電力を考えたら、LED電球は白熱電球はもとより電球形蛍光灯と比べても格段に安くなっている。75ペンス(約125円)で光を何年も得られるというのは、当たり前のように捉えているが、ちょっと考えると物凄いことだ。物価というか物の価値が本当に分からなくなる。