一口残し

無くて七癖などと言われるが、私はかなり多くの癖を持っていることだろう。癖というは大概自分では気づかないもので、生活している中でふと出る。一人暮らしが長く指摘する人もいないので、自覚せずどんどん強くなっているはず。ただ自分でも変な癖だなというのもある。毎回ではないが、なぜか飲み物を少し残してしまう。意図しているわけではなく、完全に無意識で、もう一杯飲もうか⋯⋯と思ってマグカップを手にすると、底に飲み残しが一口分。

朝にコーヒー1杯を飲んで、その後は茶。緑茶も飲めば紅茶も飲む。午後4時以降はデカフェの紅茶やハーブ・ティーを飲んでいる。おじさんなので、夕方にカフェインを摂取すると眠れなくなる。平均で1日に6杯くらい茶を飲んでいるだろうか。使っているマグカップの容量が350ミリリットル。なみなみと入れているわけではないので、1杯あたり300ミリリットルとすれば、1日あたり茶を1.8リットル飲んでいることになる。飲みきってすぐに洗えば良いのだが、なぜか一口分残して次に使うまで放置してしまう。ただ違うマグカップを使うことはない。同じマグカップを洗って使う。

もし綺麗好きな同居人がいたらさぞかしストレスになって迷惑をかけることになるだろう。それで思い出したのが院生の時の学生寮でのこと。およそ20年前。結構大きな寮で廊下からドアで仕切られた1区画に寝室が5部屋あって、台所とトイレ・風呂が共用だった。台所に調理器具が備えられていて、マグカップは10個を超えていた。ある寮生がいつもマグカップの4分の1ほど飲み残して、飲むたびに違うマグカップを使い、そこら中に置いたままにしていた。確かこの寮生はマグカップの放置について他の同居人と一悶着あった。天才肌というか恐ろしく頭が切れるタイプの人間だったが、変なところも多くあった。凡才で片付けるのが苦手で、あまり人のことは言えない身だが、私でもひどいと思ったもの。その時の私も一口分飲み残していたかもしれないが、いつも同じお気に入りのマグカップを使っていて、定位置は共用の場所ではなく、自分の部屋の机の上、コンピューターの横だった。毎日何杯もコーヒーを飲んでいた。若かった。

私の他の変な癖は何だろう。