中東情勢

シリアの『レバノン化』

アラブの春から2年以上が過ぎた。革命から民主主義国家への転換の道程は険しく、これから中東・北アフリカの国々がどのような変貌を遂げるのか、予想はつかない。その中で、まるで取り残されたように、内戦状態にあるのがシリア。様々な宗教宗派が混在するシリアの内戦は、『レバノン化』を意味しているのではないだろうか。化学兵器の利用や虐殺や文化財の破壊などが、時々ニュースとなるが、あまり実情はわからない。どうやら、かなり酷い状態にあるようだ。

レバノンで内戦が続き、内戦終結後も不安定な時期が続くのは、レバノンの多民族・多宗教・多宗派ということもあったが、国外勢力や他国が直接そして間接に介入したことも理由としてあげられるだろう。無論、介入する側にそれぞれ思惑があったが、同時にレバノン国内の勢力もそれぞれの利益のために、国外勢力や他国と協力したり、援助を仰いだりした。そのため、利害関係が複雑となり、一部代理戦争の様を呈し、泥沼化。シリアの現状はそんな状況に似ているかもしれない。

世界的な外交問題として捉えれば、まるで冷戦時の米ソ対立のように、米国主導でアサド政権がなくなることを望む『西側』、親アサド政権で内政干渉を嫌うロシアや中東という構図がある。軍事的にも介入は例えばリビアと比べると困難なので、地上で趨勢が決まるだろうだろう。地域的にも、イランやイスラエルの利害が衝突する場所だろう。すでにアル=カイーダ系のグループが反政府勢力の一翼をなしているし、皮肉と言えばヒズボラがアサド政権側に立ち、シリアに介入するらしい。

シリアの混迷は中東全体を更に不安定にするので、無視できる問題ではない。そして何よりも、多くの人命が失われている事態の終息を願ってやまない。