ロシア連邦のクリミア半島編入

クリミア半島がロシア連邦に編入された。この結果にはさして驚かないが、その経過の速さには驚いた。ロシアがクリミア半島をまず実効支配し、国際協議のあと、名目上多国籍事実上ロシア軍が平和維持のために派遣され、いずれ独立の可否を問う住民投票が行われ、そしてロシア連邦編入というのが、私が描いていたシナリオだった。つまり、数年に及ぶような過程を経ての末に、この結果になると思っていた。

ロシア系住民が多いクリミア半島は、住民投票を行えば、ウクライナよりロシアを選ぶだろうし、ロシアも軍事的そして地政学的に重要なクリミア半島を、国土に組み入れたいことは明らかだった。ロシアはもう少し慎重に事を運ぶのではないかと思っていたのだが、予想した以上に強硬な手段に訴えた。もちろん経済制裁などが発動されたとしても、19世紀とは違い、西側諸国がクリミア半島の帰属をめぐり、ロシアと軍事的に構えるという可能性にゼロに等しいということを考えての行動だろう。

西側諸国はロシアを止めることができなかったし、止めるという断固たる意思はなかった。ロシアはソ連崩壊後、さんざん欧米から小馬鹿にされてきたというところがあるのではないだろうか。積もりに積もった鬱憤を晴らすという側面があるような気がしてならない。これから国際社会にとって、ロシアとどう向き合うのか、難題となりそうだ。無視できるような存在でもなく、蚊帳の外に置き続けることもできないだろう。