中東情勢

敵の敵は味方:イラク・レバントのイスラム国対西側諸国・イラン・シリア?

イラクそして中東全体の情勢が悪化している中で、西側諸国とイランが接近している。敵の敵は味方で、利害が一致するのだろう。共通の敵はイラクの数都市を制圧した、スンニ派の過激派『イラク・レバントのイスラム国』という組織。マリキ政権はあまりにもシーア派色が強すぎて、スンニ派のイラク国民の反感を招いてしまった。イラク・レバントのイスラム国の襲来に戦わず逃散してしまったイラク軍に頼れず、これからマリキ政権がシーア派の民兵や義勇兵に頼ることになったら、宗派の溝は深まるばかりだろう。

西側諸国として悩むところはシリアである。イラク・レバントのイスラム国を敵とみなし、敵の敵は味方という理論では、シリア内戦ではアサド政権を味方にすることになってしまう。もちろん米英は表立ってアサド大統領を支持するわけにはいかないが、イラクでは旧フセイン政権を倒したのに、化学兵器を使用したアサド政権を間接的にはせよ味方にすることを、どのように国民に説明するのだろうか。