ドイツ | 迷走するヘッセン州の政治

2008年11月3日

金融都市フランクフルトを含み、ドイツの真ん中あたりに位置するのがヘッセン州。今年1月27日に投開票が行われた、定数110の州議会選挙ではキリスト教民主同盟が得票率36.8%で42議席、社会民主党が36.7%で42、自由民主党9.4%で11、緑の党7.5%で9、左翼党5.1%で6となった。ちなみに前回2003年の州議会選挙ではキリスト教民主同盟が48.8%の得票で過半数の56議席を保有していた。

この結果ではキリスト教民主同盟・自由民主党連立(42+11)も社会民主党・緑の党連立(42+9)も過半数に届かないため、キリスト教民主同盟の Roland Koch 氏が少数政権を率いている。問題は6議席を保有する左翼党だ。旧東ドイツにあたる地方では連立政権の一党ともなっている左翼党は、西ドイツでは極左党だと思われいるためどの党も左翼党との正式な連立は避けている。しかし他の連立の可能性はヘッセン州においてはほぼない。自由民主党は社会民主党と政策面で隔たりがあるので連立には無理があるし、社会民主党と緑の党は Koch 政権打倒を掲げいたので、キリスト教民主同盟と協調する意思はない。

社会民主党の Andrea Ypsilanti 氏は正式な形の協議なしで左翼党の支持を得て、議会の過半数(42+9+6)をもって州知事の座につくことを選挙以来念頭に置いていた。すでに一度社会民主党内の反対で頓挫したが、緑の党との連立協議も終わり、明日議案を議会に提出し知事就任という計画を立ていてのだが、社会民主党4人が左翼党の票による新連立樹立には賛成できないと表明したため、今回も知事になることは無理となってしまった。

もし左翼党を含む5党が5%以上の票を得てドイツの連邦と州議会に議席を保有する場合、今後とも安定した連立政権を立てるのは困難になるだろう。大連立になると野党勢力の影響力は小さくなるだろうし、3党連立だと不安定になってしまう。

【追加】キリスト教民主同盟・自由民主党・緑の党の連立はほぼないが、3党とも州議会の解散には肯定的なので、来年1月中旬までに改めて州議会選挙となる模様だ。