ギリシャとイタリア

2011年11月14日

新政権がギリシャとイタリアで誕生したが、まだまだ市場の混乱は続きそう。2週間前はギリシャの債務問題が焦点だったが、先週はイタリアが大問題とみなされた。ベルルスコーニ首相は色々な醜聞をなんとか切り抜けたが、結局市場には勝てなかった。さて、次にどの国に問題が飛び火するのか、欧州は戦々恐々としている。

あまり経済に詳しいわけではないが、ギリシャとイタリアの問題は次元が違うように思える。ギリシャの経済状況は深刻であり、経済の崩壊と呼んでも良いようのではないだろうか。つまりは債務の問題でもなく、通貨の問題でもなく、不動産バブルでもなく、経済構造全体に致命的欠陥が存在している。そのため、今後とも多額の支援が必要となるだろう。例えば今ユーロから脱退しても、債務が完全に帳消しされとしても、ギリシャの経済がすぐ立ち直るようには思えない。イタリアは政治の混迷と信用不安および財政破綻の危機に直面しているが、ギリシャのような経済全体が麻痺しているような問題を抱えているようには見えない。もちろん新政権ができれば全て解決できるようなことではないが、ギリシャのような状態にはない。

ギリシャはユーロ圏を必要とするが、ユーロ圏はギリシャを必要としていない。経済規模からすればギリシャを支援することは可能だが、それが一体ユーロ及びユーロ圏の利益となるのか疑問であり、ドイツやフランスの有権者もそのうち更なる支援に対し反対することが予想される。そのため、中期的にギリシャがユーロ圏から脱退する、あるいは実質的に追放される可能性は結構高いと思っている。一方イタリアが債務不履行に陥ったらそれこそ大問題となる。ユーロ圏あるいは欧州連合がイタリアにギリシャ並みの支援を行うことは不可能であり、世界経済に及ぼす影響も甚大となる。つまり手持ちの財源を有効に利用するには、ギリシャを切り捨ててイタリアを救うという選択を迫られるかもしれない。イタリアそして恐らくスペインの今後の対応が将来のユーロと欧州連合の形を決めるだろう。