中東・北アフリカ:民主化のドミノ?

2011年2月20日

チュニジアに端を発し、エジプトを経て、今バーレーンやリビアでも現体制に対する抗議運動がどんどん広がっている。バーレーンでも死者が多数出た模様で、リビアでも反政府運動が広がり、これまでに百人以上の人が死んだという。

まるでドミノのように、これだけ急速に大規模に広がるとは思っていなかったが、バーレーンもリビアも潜在的不満は募っていて、世界の注目を浴びる中、そしてチュニジアとエジプトの成功例を見て、抗議運動に参加する人も増えたのかもしれないし、経済的社会的不満と不安が前より一層強くなったのかもしれない。バーレーンもリビアも今後数日数週間でかなり情勢が変わるだろう。ただ、バーレーンの場合、基地を置く米国、歴史的背景やシーア派が多数のためにイラン、そしてサウジアラビアの3カ国の利害が複雑に絡んでいるので、今後バーレーンの国内情勢と外交駆引きがどのようになるのか目が離せない。一方リビアでは、カダフィ大佐が武力鎮圧を厭わない発言をしていて、軍と警察の忠誠さえ確かならば、弾圧で乗り切ろうとするかもしれず、衝突が激化してさらに多くの犠牲者が出るのではないかと危惧されている。

このようなドミノ現象の中で、米国が一番恐れているのはサウジアラビアでの政情不安ではないだろうか。バーレーンで政変が起きれば、サウジアラビアをも倒しかねない。サウジアラビアの現政権に対して様々な理由で不満を持つ人々がいる。それはイスラム原理主義者であったり、シーア派の人々であったり、部族間に燻る対立であったり、民主化を求める人々などなど。いずれにせよ、中東・北アフリカ各国の民主化を支持する、あるいは政府に対し自制を求める場合、サウジアラビアだけ現体制を支援支持するわけにはいかない。少なくとも表向きは。

チュニジアそしてエジプトでは大統領が逃亡するなり辞任するなり、体制は崩れたが、これから果たして民主主義国家となるかはまだまだ分からないところがある。多くの人々が独裁的体制を倒すことでは一致しても、その後にどのような国家を作るのかでは意見が多数あることだろう。今後、自分たちの政治政策が選挙に敗れても、新しい政権の正統性は疑わず、その次の選挙まで待てるような国のかたちができるかが重要となりそう。チュニジアにしろエジプトにしろ、また今後バーレーンやリビアやサウジアラビアで現体制が崩壊しても、前途多難と言ったところだろうか。しかし戦争・占領・内戦による夥しい死者を出したイラクの民主化とは比べ物にならないほど希望と期待を持てる展開だとは思う。