シリア:対応策は?

2011年6月10日

リビアでの紛争は膠着状態になっており、空爆による政権交代に時間がかかっている。カダフィ大佐政権の崩壊を目指すのは、国連安保理決議を拡大解釈したものであり、また決議は他国の地上部隊派遣を明確に禁じられているので、紛争が長引くほど、カダフィ大佐に有利かもしれない。

これまでリビアの影に隠れていたが、大規模なデモ運動がここ数週間続き、弾圧も続いているのがシリア。すで多数の死傷者が出ている模様で、軍がトルコ国境近くの都市に鎮圧に向かっているという情報もあり、シリアからトルコに避難する人も多くいるらしい。英仏はシリアに対する非難決議を国連安保理にて提案する道を模索しているが、前途多難。ロシアはリビアに関する安保理決議が拡大解釈されたのを不快として、非難決議には反対すると見られている。反対が拒否権発動それとも棄権か今後交渉が続くだろう。いずれにせよ、軍事行動の可能性はほぼないという見方が大半。リビアに加えてシリアに対して軍事行動に出るだけの余裕が英仏にあるか疑問視されているし、空からの攻撃だけでは政権を覆すことは難しいことは現在のリビアが示しており、またシリアの軍事力はリビアの上。

ゴラン高原の問題もあり、シリアが不安定となると中東情勢が更に緊迫することもありうる。シリアは米国やイスラエルからテロ組織を支援するならず者国家とみなされているが、それでもイスラエルにはアル=アサド政権という知っている敵の方が、先が不透明で未知数な民主化よりも良しという見方があるそうだ。

これからシリアでの情勢がどうなるのか、予測があまりつかない。流血という事態が続くことがなく、民主化となればいいのだが、それはあまりにも楽観的な見方だろう。

歴史に「もし」は禁句であるが、シリアとリビアの順番が逆であったら、英仏はどのような対応をしただろうか。