英国&ドイツ:自民党苦戦中

2011年9月7日

自由民主党が苦戦している。ただ日本の自民党のことではない。英国の Liberal Democrats とドイツ FDP (Freie Demokratische Partei) のこと。

自由主義はいろいろな側面を持つので、党名だけでは左派か右派かはあまりよく分からないし、もちろん左右だけでは分類できない。英国自由民主党はおおまかにいうと社会自由を推進する中道左派・革新系の政党で、ドイツ自由民主党は自由経済政策を中心とする中道右派の政党。現在両党とも中道右派の大政党との連立政権に参画している。

ドイツ2009年総選挙・英国2010年総選挙前まで野党の立場にあった両自由民主党はこれらの選挙で支持を伸ばした。連合王国国会は単純小選挙区制のため得票率と議席数が乖離し、ドイツ連邦議会での議席配分は比例代表票に基づくという制度に差があるが、ドイツ自由民主党は14.6%(前選挙比+4.7%)そして英国自由民主党は23.0%(前選挙比+1.0%:ただ議席数は5減)の票を得た。

ドイツ自由民主党は1998年から2009年まで野党の立場。1983年総選挙に緑の党が5%を超えるまで戦後の西ドイツでは3党制で、1969年から1998年まで自由民主党は常に与党だった。しかし今ドイツは左翼党も含めた5政党制の時代。一方英国の自由民主党は古くは19世紀・20世紀初頭の自由党の流れを汲むが、現在の党は1988年自由党と社会民主党が合流して成立した。そして与党の経験はない。そのため、政権の座にあった政党や大政党を良しとしない人々の票を掴んできたところがある。支持基盤は大政党に比べ小さく、いかに浮動票を取り込むことができるかが鍵となる。一般的に政権の座にあると、厳しい選択を迫られることがあるので、野党の方が浮動票を得やすい。与党の辛さと厳しさを味わっているよう。

ドイツでは2009年、英国では2010年に連立政権が発足し、政府は厳しい経済状況のため、あまり有権者受けのよくない政策を実行しなければならない立場にある。その批判を受けているのは大政党のキリスト教民主・社会同盟や保守党ではなく、自由民主党となっている。これは選挙結果に如実に表れている。

ドイツ自由民主党は州選挙でこのところ連戦連敗。ドイツの州議会や連邦議会の選挙で議員を選出するためには得票率が5%以上でなければならない。2011年2月20日のハンブルク市議会選挙では2001年以来始めて5%を超えて議席を獲得したが、その後は無惨な結果が続く。3月20日のザクセン=アンハルト州議会選挙では得票率が前選挙比2.9%減で3.8%となり、同月27日のラインラント=プファルツ州議会選挙では前選挙比3.8%減で4.2%、そのためこの2州では自由民主党の議員数はゼロ。ラインラント=プファルツ州と同日行われたバーデン=ヴュルテンベルク州議会選挙では得票率が半減したが辛うじて5.3%を確保。5月22日のブレーメン市議会選挙では前選挙比3.6%減で得票率は2.4%で政党別で第6位となり、最近のメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙では前選挙比6.9%減で得票率は2.7%で第6位と散々な結果に。自由民主党は連邦政府の批判を正面に受け止めていて、緑の党は連邦政府への批判の受け皿となっているよう。ドイツ自由民主党は危機的状況にあり、2013年総選挙までに支持を取り戻せるかが焦点となりそう。

英国自由民主党は5月に行われたスコットランド・ウェールズ両議会選挙、イングランド地方選挙そして選挙制度改革の是非を問う国民投票すべてで負けた。スコットランドではスコットランド国民党が大勝して、労働党も保守党も負けたが、イングランドでは大敗し、ウェールズでも後退。ただ連合王国議会は単純小選挙区で議員を選び、基本的には3政党制なので、保守党も労働党も支持しない人々の受け皿になるような第4党の存在はスコットランドにおけるスコットランド国民党およびウェールズのウェールズの党を除き存在しない。また総選挙もまだまだ先だろうから党勢再建の時間があるが、政局次第では大幅な議席減もありうるだろう。2010年総選挙の結果は2大政党制の否定という一面があったが、次回の総選挙は2大政党制への回帰かそれとも多数政党制移行が続くのか、より鮮明になるかもしれない。

政治の世界では一寸先は闇。次に何が起こるだろうか。