国籍法の一部を改正する法律案

2008年12月1日 | 追加・最終更新:2008年12月5日

最近ブログ界で議論の的となり、否定的な意見が多く見受けられるのが、「国籍法の一部を改正する法律案」。

現在の国籍法

(準正による国籍の取得)

第三条 父母の婚姻およびその認知により嫡出子たる身分を取得した二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

改正案だと以下の通りとなる。

(認知された子の国籍の取得)

第三条 父又は母が認知した二十歳未満のもの⋯⋯[以下上記と同じ]

ブロガーの多くが問題としているのは、日本国民の父の認知のみで国籍が取得でき、虚偽の届出の罰則は「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金」であるため、例えば金銭と交換に自分の子でない者を認知する「偽装認知」が横行する可能性がある点。

反対派にも温度差があり、この改正には絶対反対の立場から、偽装認知を阻止することができれば改正してもよいとの意見もある。主にどのような術で偽装認知を防ぐかで揉めているようだ。聞き取り調査や資料提出だけでは生温いという記事が多く、DNA 鑑定を求める意見が根強い。

確かに DNA を使えば偽装認知を減らすことはできようが、DNA 鑑定を行い生物学的親子関係が条件とすれば、ある意味この改正案そして国籍法第3条そのものの意味がなくなる。もし認知したい意思があっても DNA で父でないことが分かれば「偽装認知」とみなされ、国籍法第3条第1項に基づいての国籍の取得ができなくなる。

法には疎いが、現在の法律を読む限り、第3条第1項によれば子の国籍取得は「父母の婚姻及びその認知により」とあり、DNA 鑑定や血縁関係は必要ないのに、今後は必要とするというのも理解に苦しむ。(偽装)結婚で必ずしも実子ではない子の認知、そして離婚ということが実際どの頻度であるのだろうか。また DNA 鑑定で生物学的に親子関係が判明した場合、国籍法第2条第1項「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」の「出生による国籍の取得」が、認知非認知に関係なく成立するのではないだろうか。

また親子関係が血縁のみによるものなのか、極端な例として連れ子がある同性同士の関係や代理母という、現在と将来の家族関係の多様化を鑑み考える必要もあるだろう。血縁や両親の婚姻以外での親子関係もあり、また認知という個人の責任と意思は重きもので尊重されるべきという主義なので、この改正案は必要という立場だ。