アデン湾の海賊

2008年11月18日

「海賊」はなんとなく古めかしい印象を与える言葉だが、現在ソマリア沖のインド洋、特にアデン湾で跋扈している。日本の船舶会社の船を乗っ取り、英国海軍と交戦したりと侮れない。そして数日前、31万8千トンという巨大なサウジアラビアの石油タンカーを乗っ取った。このタンカーはより危険と言われているスエズ運河ルートではなく、喜望峰ルートを航行している途中、沿岸からかなり離れた場所で襲われたので、海賊の被害に遭う可能性のある危険水域が広がったと報道されている。

いくら他国の海軍が巡回しても、海は広すぎる。海賊は小さく速い船で行動するから、海上での捕捉には限界があるし、ソマリアが無政府状態なので陸上で一網打尽も無理だ。また個々のグループとして行動しているため、総元締のような存在がいないらしく、海賊の首謀者を捕らえればいいということでもない。

船に積まれたものを売りさばいて生計を立ているわけではないだろうから、やはり船・船荷・船員の釈放金を目当てにしているようだ。石油とスエズ運河という世界の「潤滑」と「動脈」が危険に曝されているのは大問題だ。でも軍艦を増やすにも限界があるし、身代金を払わないというのも人質の命に関るし、ソマリアの無政府・無秩序状態を是正するのも早急には進まないだろうから、これからも海賊による襲撃が増えそうだ。長期的にはソマリアの治安向上が必要だが、それまでは護送船団などで対応するしかないように見える。