政治と言葉 | 「マスコミに報復してやろうか」

2008年11月14日

「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の座長である奥田碩トヨタ自動車相談役が、マスコミ特にテレビが朝から晩まで厚労省叩きに徹していると批判し、「厚労省たたきは異常な話。マスコミに報復してやろうか(と思う)。スポンサーを降りるとか」と発言した。

座長としてマスコミが批判的な報道をしていると主張するのは良いとしても、企業がスポンサーを降りるという形での「報復」とは穏やかではない。企業がどの媒体に広告を掲載するかはその企業の自由で、企業の倫理と相容れない番組での宣伝をやめるのは妥当。しかしこれは企業としての判断であり、ある省庁が叩かれているから代理で報復するためにスポンサーを降りるというのは、会社経営の観点からも疑問が残る。テレビや新聞は広告が収入源なので、官庁を批判すると民間企業がスポンサーから降りる形式ができると、ニュース報道が萎縮する可能性もある。