政治と言葉 | Trust me!

2010年3月5日

誰であったか「信用してくれという政治家ほど信用できない者はいない」という言葉を残した人がいた。鳩山首相がオバマ大統領に trust me と言って時点で、英語ができる人にしては政治的判断力が欠けていると薄ら危惧していたが、今回の平野官房長官の trust me にはあまりのひどさに仰天した。平野官房長官の言動は彼個人のみならず、政府そして国の信用をなくすものであり、日米関係をさらにギクシャクさせる可能性がある。

毎日新聞の記事『普天間:官房長官と米大使 会談で「トラスト・ミー」応酬』によると、平野官房長官がルース駐日米国大使との会話を記者会見で公にした。その内容とは普天間飛行場の移設先について。

前後の文脈も原文もないため、完全には分からないが、ルース大使は非公式、つまりオフレコで現時点での日本政府がどのような案を検討しているのかを知りたかったのだろう。ここでの「信用してくれ」とは、つまり「私は絶対に外に漏らさないから本当のことを言ってくれ」ということ。この一文だけでは判断しづらいが、米政府がいかにこの問題を重要視していて苛立っているかが窺える。そしてこの会話自体外には出さないはずで、記者会見で内容を漏らしたのはルース大使そして他の米国の要人に「平野官房長官は何でも喋ってしまう」という印象を与えてしまっただろう。ルース大使は個人の責任と信望を懸けてでも日本政府の立場を理解しようとしたので、これは個人と個人の会話であって外には漏らさないべきだった。

平野官房長官が trust me で何を意味したのだろうか。この場合、文面に読む通り「私が個人責任を負って5月末までに日本は立場を決める」と言いたかったのだろうか。しかし平野官房長官にそんな確約の権限はないはず。Trust は軽々しい言葉ではなく、約束を実行することを前提としているので、この言動に行動が伴われなければ、平野官房長官そして日本政府は信用を完全に失う。まさか「頑張る」というような意味合いで使ったわけではないだろうし、どうしても意味不明の感が拭えない。そしてこのやりとりを公にした意味も不明。