冬季五輪とW杯

今年は冬季オリンピックとサッカーのワールド・カップの年。五輪開催国ロシアとW杯開催国ブラジルの両国は、今年注目される国となるだろうか。この2国にとって、今後数年はかなり忙しい。ブラジルではもう再来年となる2016年にリオ・デ・ジャネイロで夏季五輪が開催され、ロシアでは4年後の2018年ワールド・カップが行われる。2008年夏季五輪は中国の北京で、2010年のワールド・カップは南アフリカでそれぞれ催されたので、インドを除くBRICSが目立つ。

ロシアの人権問題が取り沙汰されるのは北京五輪と似たようなもので、組織面で不安視されているブラジルは南アW杯に似ているのかもしれない。付け加えるとすれば、ロシアの場合は、人権問題とともに、テロも心配されている。プーチン大統領の威信プロジェクトで、ソチはそれは厳重に警備されるため、選手団や観客やメディアにとって安全面での不安は特にないだろうが、他の都市や地域の警備が手薄になってしまうかもしれない。テロ組織はソチを襲う必要はない。大会中に、ロシアのどこかでテロ行為が起きれば、ロシアとプーチン大統領にとって大きな痛手となるから。

ロシアや中国では強力な権限を有する大統領がいたり一党支配制で、言わば強い政府が存在するため、五輪やW杯の準備や運営という点ではあまり心配する必要はないのかもしれないが、国威発揚あるいは政治体制を正当化するためのイベントという感もある。一方、南アやブラジルは、民主制かもしれないが、貧富の差があったり、汚職があったりと、弱い政府というのか、運営や組織の面で大きな不安を抱え、五輪やW杯とともに整備されるはずだった社会基盤がなかったり遅かったりと、国内での不満や批判が強い。

このような世界的なイベントはどうしても政治的な側面を持つが、テロなども起きず、スポーツ選手が全力を尽くす姿をテレビを通して観て感動したいと思っている。