翻訳あれこれ

リレー翻訳

 | 最終更新:2018年1月25日

文章を翻訳するとき、いろいろと困ることがあるが、その中でも頭を抱えてしまうのが、翻訳しようとする文が意味を成さないとき。何回読んでも、文脈に沿って読んでも、意味が不明あるいは不明瞭。原作者が推敲を怠ったこともあるが、特にリレー翻訳の場合、そんな場面に遭遇する。ここでのリレー翻訳とは、A>B>Cとように、原文が一旦翻訳され、その翻訳された文章が再び翻訳されることで、B>Cの翻訳を行うとき。つまり翻訳の翻訳。なぜリレー翻訳が存在するかというと、専門知識を有する翻訳者があまりいない言語や分野だったり、単価が高い翻訳市場の場合、翻訳者を二人雇った方が素早く済み安上がりであるため。原文が手元になく、たとえあったとしても読めないので、どうしても最初の翻訳(者)を頼りにすることになる。そしてA>Bは翻訳のための翻訳なので、入念にチェックされた訳文ではないこともある。

言語はそれぞれ違うので、翻訳とは必ずしも、一字一句、一対一に置き換える作業ではない。もしそうであるならば、すでにコンピューターによる翻訳ができているはず。ただ、専門用語や適宜の定訳は存在し、そのような場合は、翻訳に一貫性を持たせる必要があるため、コンピューター・プログラムを使うこともある。もちろん、専門用語や定訳以外でも、原文に忠実であるべきだし、遺漏があってはならないが、型にはめて置き換えればよろしいというわけではない。文法的に正しくても、意味は不明瞭で、文体は非常に不自然という訳文が多いのは、一字一句できるだけ忠実に翻訳しようとした結果。ときとして、全部訳せば、意自ずから通ずとでも思っているのか、原文を完全に理解しないまま、翻訳しているケースもある。また、翻訳者は完璧であるわけではなく、いくら正確であったとしても、どうしても原文の「何か」が失われてしまう。リレー翻訳の場合は、二回文章を訳しているので、いくら翻訳者が優秀であっても、訳文にはやはり原文との距離ができてしまう。

次にリレー翻訳を行うことになったら、原文が明瞭であり、最初の翻訳者が上手に翻訳してくれたことを願うだけ。